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3番解答

  1. $p$に0を含めることとし, $p=0,\ 1,\ 2,\ \cdots$に対して, 数列の和 $\displaystyle \sum_{k=1}^nk^p$$S_p(n)$と表さすような, $p+1$次の多項式$S_p(x)$が存在しすることを,数学的帰納法で示す. 後で使うので,$S_p(0)=0$であることも含めて,示す.

    $p=0$のとき.

    \begin{displaymath}
\sum_{k=1}^nk^0=n
\end{displaymath}

    より$S_0(x)=x$とおけばよい.$S_0(0)=0$も成立する.

    題意を満たす $S_0(x),\ S_1(x),\ \cdots,\ S_{p-1}(x)$が存在したとする.

    ここで二項定理から

    \begin{displaymath}
(x+1)^{p+1}-x^{p+1}=\sum_{i=0}^p{}_{p+1}\mathrm{C}_ix^i
\end{displaymath}

    より

    \begin{eqnarray*}
&&\sum_{k=1}^n\{(k+1)^{p+1}-k^{p+1}\}
=\sum_{k=1}^n\left(\su...
...(p+1)\sum_{k=1}^nk^p+\sum_{i=0}^{p-1}{}_{p+1}\mathrm{C}_iS_i(n)
\end{eqnarray*}


    \begin{displaymath}
\sum_{k=1}^n\{(k+1)^{p+1}-k^{p+1}\}=(n+1)^{p+1}-1
\end{displaymath}

    なので,

    \begin{displaymath}
(p+1)\sum_{k=1}^nk^p=(n+1)^{p+1}-1-\sum_{i=0}^{p-1}{}_{p+1}\mathrm{C}_iS_i(n)
\end{displaymath}

    これから

    \begin{displaymath}
S_p(x)
=\dfrac{1}{p+1}\left\{(x+1)^{p+1}-1-\sum_{i=0}^{p-1}{}_{p+1}\mathrm{C}_iS_i(x)\right\}
\end{displaymath}

    とおけばよい.

    \begin{displaymath}
S_p(0)
=\dfrac{1}{p+1}\left\{(0+1)^{p+1}-1-\sum_{i=0}^{p-1}{}_{p+1}\mathrm{C}_iS_i(0)\right\}
=0
\end{displaymath}

    も成り立ち,$p$のときも題意を満たす$S_p(x)$が構成できた.

    よって,0以上のすべての$p$に対して題意を満たす$S_p(x)$が存在することが示された.

  2. 変数$x$の整式に対して$f(x)=g(x)$が恒等式であることと, 任意の0以上の整数$n$に対して$f(n)=g(n)$が成り立つことは同値である.

    したがって

    \begin{displaymath}
\sum_{j=1}^qa_jS_{2j-1}(x)=x^q(x+1)^q\quad \cdots\maru{1}
\end{displaymath}

    が恒等式となることと, $\maru{1}$に0以上の任意の整数$n$を代入したとき成立することが同値である.

    (1)から$\maru{1}$$x=0$のときには成立している.

    命題:

    \begin{displaymath}
x=n-1 のときに\maru{1}が成立すれば,x=n\ のときにも\maru{1}が成立する.
\end{displaymath}

    が,すべての$n\ge 1$に対して成立するように係数$a_j$を決めれば, 数学的帰納法によってすべての0以上の整数に対して$\maru{1}$は成立する.

    \begin{eqnarray*}
\sum_{j=1}^qa_jS_{2j-1}(n)=n^q(n+1)^q&&\cdots\maru{2}\\
\sum_{j=1}^qa_jS_{2j-1}(n-1)=(n-1)^qn^q&&\cdots\maru{3}
\end{eqnarray*}

    $\maru{3}$が成立するとき$\maru{2}$が成立すればよい.よってその差

    \begin{displaymath}
\sum_{j=1}^qa_j\{S_{2j-1}(n)-S_{2j-1}(n-1)=n^q(n+1)^q-(n-1)^qn^q
\end{displaymath}

    がすべての自然数で成立すればよい.ここで$S_p(n)$の定義から

    \begin{displaymath}
S_{2j-1}(n)-S_{2j-1}(n-1)=n^{2j-1}
\end{displaymath}

    である.よって

    \begin{displaymath}
\sum_{j=1}^qa_jx^{2j-1}=x^q(x+1)^q-(x-1)^qx^q
\end{displaymath}

    が,すべての$n$で成立する,つまり恒等式になればよい.ここで

    \begin{eqnarray*}
&&x^q(x+1)^q-(x-1)^qx^q\\
&=&x^q\left\{\sum_{i=0}^q{}_q\mat...
...^{\left[\frac{q+1}{2}\right]}{}_q\mathrm{C}_{2l-1}x^{2q-(2l-1)}
\end{eqnarray*}

    である.

    これから,係数$a_j$

    \begin{displaymath}
2j-1=2q-(2l-1)
\end{displaymath}

    のとき

    \begin{displaymath}
a_j=2{}_q\mathrm{C}_{2l-1}
\end{displaymath}

    となるようにとればよい.このとき$l=q-j+1$なので,

    \begin{displaymath}
a_j=2{}_q\mathrm{C}_{2q-2j+1}\ (1\le j \le q)
\end{displaymath}

    である. ただし, $0\le 2q-2j+1\le q$の範囲にない$j$に対しては, ${}_q\mathrm{C}_{2q-2j+1}=0$とする.

    この$a_j$に対しては0以上の任意の整数に対して$\maru{1}$が成立する.

    つまりこのとき$\maru{1}$は恒等式である.


  3. \begin{displaymath}
\sum_{j=1}^{q-1}b_jS_{2j}(x)=x^{q-1}(x+1)^{q-1}(cx+q)\quad \cdots\maru{4}
\end{displaymath}

    が恒等式となるためには,(2)と同様に考え,2以上の自然数$q$に対して

    \begin{eqnarray*}
&&\sum_{j=1}^{q-1}b_j\{S_{2j}(x)-S_{2j}(x-1)\}=\sum_{j=1}^{q-...
...x+1)^{q-1}(cx+q)-(x-1)^{q-1}x^{q-1}(cx-c+q)\quad \cdots\maru{5}
\end{eqnarray*}

    が恒等式となるように,定数$c$ $b_1,\ \cdots,\ b_{q-1}$を決めればよい.

    \begin{eqnarray*}
&&x^{q-1}(x+1)^{q-1}(cx+q)-(x-1)^{q-1}x^{q-1}(cx-c+q)\\
&=&...
...=0}^{q-1}{}_{q-1}\mathrm{C}_{i}(-1)^ix^{q-1-i} \right\} \right]
\end{eqnarray*}

    ここで奇数次数の項をとると

    \begin{displaymath}
2q{}_{q-1}\mathrm{C}_{2l-1}x^{2(q-1)-(2l-1)}+c{}_{q-1}\mathrm{C}_{i}(-1)^ix^{2(q-1)-i}
\end{displaymath}

    $i=2l-1$のときである.このときこの項は

    \begin{displaymath}
(2q-c){}_{q-1}\mathrm{C}_{2l-1}x^{2(q-1)-(2l-1)}
\end{displaymath}

    となる.$\maru{5}$の左辺は偶数次の項ばかりなので,

    \begin{displaymath}
c=2q
\end{displaymath}

    が必要である.このとき偶数次の項は

    \begin{displaymath}
2c{}_{q-1}\mathrm{C}_{2l-1}x^{2(q-1)+1-(2l-1)}+c{}_{q-1}\mathrm{C}_{i}(-1)^ix^{2(q-1)-i}
\end{displaymath}

    で,$i=2l-2$のときである.

    \begin{displaymath}
{}_{n-1} \mathrm{C}_r+{}_n \mathrm{C}_r=\left(\dfrac{n-r}{n}+1\right){}_n\mathrm{C}_r
\end{displaymath}

    なので,このときこの項は

    \begin{eqnarray*}
&&c\left\{2{}_{q-1}\mathrm{C}_{2l-1}+{}_{q-1}\mathrm{C}_{2l-2...
...
&=&\dfrac{2q-2l+1}{q}{}_q\mathrm{C}_{2l-1}x^{2(q-1)+1-(2l-1)}
\end{eqnarray*}

    となる.

    $\maru{5}$が恒等式となるためには

    \begin{displaymath}
b_jx^{2j}=c\cdot\dfrac{2q-2l+1}{q}{}_q\mathrm{C}_{2l-1}x^{2(q-1)+1-(2l-1)}
\end{displaymath}

    ここで, $2j=2(q-1)+1-(2l-1)$.つまり$2l-1=2q-2j-1$である.したがって

    \begin{eqnarray*}
b_j&=&c\cdot\dfrac{2q-2l+1}{q}{}_q\mathrm{C}_{2l-1}\\
&=&2q...
...j-1}\\
&=&2(2j+1){}_q\mathrm{C}_{2q-2j-1}\ \ (1\le j \le q-1)
\end{eqnarray*}

    である. ただし $1\le 2q-2j-1\le q$の範囲を超える$j$に対しては ${}_q\mathrm{C}_{2q-2j-1}=0$とする.
  4. $p=2q+1\ (q=2,\ 3,\ \cdots)$とおき

    \begin{displaymath}
\dfrac{d}{dx}S_p(x)=pS_{p-1}(x)\quad \cdots\maru{6}
\end{displaymath}

    が成り立つことを$m$に関する数学的帰納法で示す.

    $q=2$のとき.

    \begin{eqnarray*}
\dfrac{d}{dx}S_3(x)&=&\dfrac{d}{dx}\left\{\dfrac{1}{2}x(x+1)\...
...c{x(x+1)(2x+1)}{2}\\
&=&3\cdot\dfrac{x(x+1)(2x+1)}{6}=3S_2(x)
\end{eqnarray*}

    より成立する.

    $\maru{6}$ $p=3,\ \cdots,\ 2(q-1)-1$のとき成立するとする.

    ここで$\maru{1}$の両辺を$x$で微分する.

    \begin{displaymath}
\sum_{j=1}^qa_jS_{2j-1}'(x)=\dfrac{d}{dx}x^q(x+1)^q
\end{displaymath}

    この等式において

    \begin{eqnarray*}
右辺&=&qx^{q-1}(x+1)^q+qx^q(x+1)^{q-1}\\
&=&qx^{q-1}(x+1)^{q-1}(2x+1)
\end{eqnarray*}

    ところがこれは$\maru{4}$の右辺で$c=2q$とおいたものに他ならない.

    よって$\maru{1}$の左辺を$x$で微分した整式と$\maru{4}$の左辺は等しい. つまり

    \begin{displaymath}
\sum_{j=1}^qa_jS_{2j-1}'(x)=\sum_{j=1}^{q-1}b_jS_{2j}(x)\quad \cdots\maru{7}
\end{displaymath}

    である.

    ここで$\maru{7}$の左辺で, $a_1=2{}_q\mathrm{C}_{2q-1}=0$ $a_q=2{}_q\mathrm{C}_{1}=2q$なので, 数学的帰納法の仮定を用いると

    \begin{eqnarray*}
左辺&=&\sum_{j=2}^{q-1}a_jS_{2j-1}'(x)+2qS_{2q-1}'(x)\\
&=&...
...S_{2q-1}'(x)\\
&=&\sum_{j=1}^{q-2}b_jS_{2j}(x)+2qS_{2q-1}'(x)
\end{eqnarray*}    

    となる. これが$\maru{7}$の右辺と一致し,かつ $b_{q-1}=2(2q-1){}_q\mathrm{C}_1$なので

    \begin{displaymath}
2qS_{2q-1}'(x)=b_{q-1}S_{2q-2}(x)=2(2q-1)qS_{2q-2}(x)
\end{displaymath}

    つまり

    \begin{displaymath}
S_{2q-1}'(x)=(2q-1)S_{2q-2}(x)
\end{displaymath}

    が示され,$\maru{6}$$p=2q-1$のときも成立した.

    したがって数学的帰納法によって,3以上の奇数$p$に対して$\maru{6}$が成立する.

(2)(3)の公式は何を意味しているのか.必ず具体的に書き出してみよう.

 

\begin{eqnarray*}
&&2S_1=x(x+1)\\
&&4S_3=x^2(x+1)^2\\
&&6S_5+2S_3=x^3(x+1)^3\\
&&8S_7+8S_5=x^4(x+1)^4
\end{eqnarray*}

これから

 

となる. また

\begin{eqnarray*}
&&12S_2=2x(x+1)(2x+1)\\
&&6S_2+30S_4=3x^2(x+1)^2(2x+1)\\
&&24S_2+56S_6=4x^3(x+1)^3(2x+1)
\end{eqnarray*}

これから

注意 


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