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富山大後期解答

(1) $\alpha$が有理数であると仮定し,$\alpha=\dfrac{a}{b}$とおく.

 解法1  $a$ と $b$ は互いに素であるとする. $\dfrac{a^3}{b^3}=3 $ で, $a^3$ と $b^3$ は互いに素である.一方,右辺は整数なので,$b^3=1$. つまり $\alpha$ は整数である.ところが $1^3=1,\ 2^3=8$ なので,$a^2=3$ となる整数 $a$ の存在はこれと矛盾する. よって,$\alpha$ は有理数ではない.

 解法2  $ a^3=3b^3 $ であるが, 左辺の素因数分解にある素因数3の個数は3の倍数個である. 右辺の素因数分解にある素因数3の個数は(3の倍数+1)個である. これは矛盾である.よって,$\alpha$ は有理数ではない.

 解法3  $a$ と $b$ は互いに素であるとする. $ a^3=3b^3 $ より, $a$ は3の倍数である.$a=3a'$ とおく.これから $ 9{a'}^3=b^3 $ となり,$b$ も3の倍数である.これは $a$ と $b$ が互いに素であることと矛盾する. よって,$\alpha$ は有理数ではない.

(2)  \[ x^3-3=(x^2+px+q)(x-p)+(p^2-q)x+pq-3 \] より, \[ A(x)=x-p,\ \quad B(x)=(p^2-q)x+pq-3 \] である.

(3)  $\alpha^2+p\alpha+q=0$ を満たす有理数 $p,\ q$ が存在するとする. このとき,(2)から, \begin{eqnarray*} 0&=&\alpha^3-3\\ &=&(\alpha^2+p\alpha+q)(\alpha-p)+(p^2-q)\alpha+pq-3\\ &=&(p^2-q)\alpha+pq-3 \end{eqnarray*} ここで,$p^2-q=0$ なら $pq-3=0$ となるが,これから $p^3=3$ となる. (1)の論証での$\alpha$ を $p$ におきかえると,$p$ は有理数でない. よって,$p$ が有理数なら $p^2-q\ne 0$ であり,これより \[ \alpha=-\dfrac{pq-3}{p^2-q} \] となる.右辺は有理数なので,$\alpha$ が有理数でないことと矛盾した. よって,$\alpha^2+p\alpha+q=0$ を満たす有理数 $p,\ q$ は存在しない.

問題