2019年入試問題研究に戻る京大特色3番
$ c $ を正の実数とする.このとき,実数 $ q $ に対して,次の条件により数列 $ x_1,\ x_2,\ x_3,\ \cdots $ を定めることを考える. \begin{eqnarray*} &&(A)\ x_1=q\\ &&(B)\ x_{n+1}=\dfrac{1}{2c-x_n}\ (n=1,2,3,\cdots) \end{eqnarray*} ここで,ある自然数 $ k $ に対して $ x_k=2c $ となる場合, $ x_{k+1} $ の値を漸化式(B) によって定義することはできないので,このときは上記の数列を第 $ k $ 番目の項 $ x_k $ で停止させ,これをこの数列の末項とする.このように,条件 (A), (B) により定まる数列に置いて,ある自然数 $ k $ について $ x_k=2c $ となるとき, $ q $ を漸化式 (B) の不都合な初項と呼ぶことにする.例えば $ q=2c $ のとき, $ x_1=2c $ となるので, $ 2c $ は漸化式 (B) の不都合な初項である.以下の設問に答えよ.
(1) $ c >1 $ ならば,漸化式 (B) の不都合な初項は無限に多く存在することを示せ.
(2) $ c >1 $ とする.実数 $ q $ が漸化式 (B) の不都合な初項であるとき,次の不等式を示せ. \[ c+\sqrt{c^2-1}< q\leqq 2c \]
(3) 次の命題 (P) が成り立つような実数 $ c $ が $ 0< c< 1 $ の範囲に存在することを示せ.
(P) 任意に自然数 $ M $ を与えるとき,漸化式 (B) の不都合な初項 $ q $ であって,不等式 \[ |q|>M \] を満たすものが存在する.