2019年入試問題研究に戻る東北大後期2番解答
(1) ド・モアブルの定理と等比数列の和の公式から \begin{eqnarray*} &&\sum_{k=0}^n\{\cos(kx)+i\sin(kx)\}=\sum_{k=0}^n(\cos x+i\sin x)^k\\ &=&\dfrac{1-(\cos x+i\sin x)^{n+1}}{1-(\cos x+i\sin x)} =\dfrac{1-[\cos\{(n+1)x\}+i\sin\{(n+1)x\}]}{1-\cos x-i\sin x}\\ &=&\dfrac{(1-\cos x+i\sin x)[1-\cos\{(n+1)x\}-i\sin\{(n+1)x\}]}{(1-\cos x)^2+\sin^2 x} \end{eqnarray*} である.ここで分母は \[ (1-\cos x)^2+\sin^2 x=2(1-\cos x)=4\sin^2\dfrac{x}{2} \] である.分子の実数部分は, \begin{eqnarray*} &&(1-\cos x)[1-\cos\{(n+1)x\}]+\cos\{(n+1)x\}\cos x+\sin\{(n+1)x\}\sin x\\ &=&2\sin^2\dfrac{x}{2}+2\sin\left\{\left(n+\dfrac{1}{2} \right)x \right\}\sin\dfrac{x}{2} \end{eqnarray*} よって \[ \sum_{k=0}^n\cos(kx)=\dfrac{1}{2}+\dfrac{\sin\left\{\left(n+\dfrac{1}{2} \right)x\right\}}{2\sin\dfrac{x}{2}} \] これより \[ \sum_{k=1}^n\cos(kx)=-\dfrac{1}{2}+\dfrac{\sin\left\{\left(n+\dfrac{1}{2} \right)x\right\}}{2\sin\dfrac{x}{2}} \] となるので, \[ \left\{1+2\sum_{k=1}^n\cos(kx) \right\}\sin\dfrac{x}{2}=\sin\left\{\left(n+\dfrac{1}{2} \right)x \right\} \] が成りたつ.
(2) (1)から, \[ 2\sin\dfrac{x}{2}\sum_{k=1}^n\cos(kx)=\sin\left\{\left(n+\dfrac{1}{2} \right)x \right\}-\sin\dfrac{x}{2} \] である.ここで, $ \sin\dfrac{x}{2}=0 $ となるのは, $ \dfrac{x}{2} $ が 整数 $ m $ を用いて $ \dfrac{x}{2}=m\pi $ と表せるときであるが,このとき, \[ \sum_{k=1}^n\cos(kx)= \sum_{k=1}^n\cos(2mk\pi)=\sum_{k=1}^n1=n \] なので,条件をみたさない.よって, $ \sin\dfrac{x}{2}\ne 0 $ が必要である. そしてこのとき, $ x $ が $ \displaystyle \sum_{k=1}^n\cos(kx)=0 $ をみたすのは, \[ \sin\left\{\left(n+\dfrac{1}{2} \right)x \right\}-\sin\dfrac{x}{2}=0 \] と同値である. \[ \sin\left\{\left(n+\dfrac{1}{2} \right)x \right\}-\sin\dfrac{x}{2} =2\cos\left(\dfrac{n+1}{2}x \right)\sin\left(\dfrac{n}{2}x \right)=0 \] である.
i) $ \sin\left(\dfrac{n}{2}x \right)=0 $ のとき. これは $ \dfrac{n}{2}x=m\pi $ と整数 $ m $ を用いて表されるときである.このとき $ x=\dfrac{2m}{n}\pi $ .ただし上記考察より, $ x $ が $ \pi $ の偶数倍のときは条件をみたさないので, $ m $ が $ n $ の倍数となるときを除く.
ii) $ \cos\left(\dfrac{n+1}{2}x \right)=0 $ のとき. これは $ \dfrac{n+1}{2}x=\dfrac{\pi}{2}+m\pi $ と整数 $ m $ を用いて表されるときである. このとき $ x=\dfrac{2m+1}{n+1}\pi $ . これは,すべての $ m $ に対して $ x $ が $ \pi $ の偶数倍となることはない.
したがって与えられた整数 $ n $ に対して条件をみたす $ x $ は次のようになる. \[ x= \left\{ \begin{array}{ll} \dfrac{2m}{n}\pi&(mはnの倍数でない整数)\\ \dfrac{2m+1}{n+1}\pi&(mは整数) \end{array} \right. \]