2020年入試問題研究に戻る一橋大後期経済解答
(1) $ a=bk $ とおく. $ 2^a-1=(2^b)^k-1 $ である,
ここで,正の整数 $ k $ に対し,多項式の因数分解 \[ x^k-1=(x-1)(x^{k-1}+x^{k-2}+\cdots+x+1) \] が成り立つので, $ x=2^b $ を代入する.これより, \[ (2^b)^k-1=(2^b-1)\{(2^b)^{k-1}+(2^b)^{k-2}+\cdots+2^b+1\} \] となり, $ 2^a-1 $ は $ 2^b-1 $ の倍数である.(2) $ a $ が素数でないとし,1より大きい2つの整数 $ b $ , $ k $ を用いて $ a=bk $ と表されるとする. このとき,(1)より \[ 2^a-1=(2^b-1)\{(2^b)^{k-1}+(2^b)^{k-2}+\cdots+2^b+1\} \] であるが,ここで $ 2^b-1 >1 $ , $ (2^b)^{k-1}+(2^b)^{k-2}+\cdots+2^b+1 >1 $ であるので, $ 2^a-1 $ は素数ではない. よって,対偶が成り立ち, $ 2^a-1 $ が素数ならば $ a $ は素数であることが示された.
(3) $ 2^a-1=(2a+1)(8a+1) $ で $ a\geqq 1 $ より, \[ 2^a=16a^2+10a+2<(5a+1)^2 \] が必要である.
$ a=12 $ のとき $ 2^a=4096 $ , $ (5a+1)^2=61^2=3721 $ である.
$ a\geqq 12 $ のとき $ 2^a >(5a+1)^2 $ と仮定すると, \begin{eqnarray*} 2^{a+1}-\{5(a+1)+1\}^2 &>&2(5a+1)^2-(5a+6)^2\\ &=&25a^2-40a-34=(5a-4)^2-50 \end{eqnarray*} これより, $ a\geqq 12 $ のとき, $ 2^{a+1}-\{5(a+1)+1\}^2 >0 $ となる.
よって,$2^a-1=(2a+1)(8a+1)$となるためには $ a\leqq 11 $ が必要で,この範囲の $ a $ を調べることにより, $ a=11 $ のときに, $ 2^{11}-1=2047 $ , $ (2\cdot 11+1)(8\cdot 11+1)=23\cdot 89=2047 $ より,$2^a-1=(2a+1)(8a+1)$となるので,$a=11$である.
※ これは(2)の逆,つまり
$ a $ が素数ならば $ 2^a-1 $ は素数である.は成りたたないことを示している. \[ \begin{array}{l} 2^3-1=7:素数\\ 2^5-1=31:素数\\ 2^7-1=127:素数 \end{array} \] である. $ 2^{11}-1 $ ではじめて合成数となる.