2020年入試問題研究に戻る2020奈良医後期第4問解答
(1) 周期 $ q $ を $ p $ で割った余りを $ r $ とする. $ q=pk+r\ (0\leqq r< p) $ である. $ q $ と $ p $ が周期なので, \begin{eqnarray*} a_n&=&a_{n+q}=a_{n+pk+r}\\ &=&a_{n+p(k-1)+r+p}=a_{n+p(k-1)+r} \end{eqnarray*} これをくりかえして \[ a_n=a_{n+r} \] となり, $ r >0 $ なら $ r $ も周期である. これは $ p $ が最小であることと矛盾する. よって, $ r=0 $ .つまり任意の周期 $ q $ は $ p $ で割り切れる.
(2) 異なるる $ i $ と $ j $ $ (0\leqq i< j\leqq p-1) $ に対し,相等しい 周期数列 $ \{a_n^{(i)}\}_{n=0,1,\cdots} $ と 周期数列 $ \{a_n^{(j)}\}_{n=0,1,\cdots} $ が存在するとする. このとき $ n=0,1,\cdots $ に対して, \[ a_{n+i}=a_{n+j}=a_{n+i+j-i} \] が成り立つ.周期数列 $ \{b_n\}_{n=0,1,\cdots} $ を \[ b_n=a_{n+i} \] で定める. $ b_n $ は $ n=0,1,\cdots $ に対して, \[ b_n=b_{n+p},\ かつ\ b_n=b_{n+j-i} \] がなりたつ. $ p $ と $ j-i $ が周期である. $ p $ が最小なので, $ j-i=0 $ となり, 仮定と矛盾する.よって, $ \{a_n^{(i)}\}_{n=0,1,\cdots} $ はすべて異なる.
(3) $ a_0,\ a_1,\ \cdots,\ a_{p-1} $ を定めれば周期 $ p $ の数列は定まる. したがって,1以上 $ c $ 以下の値をとる数列は $ c^p $ 個ある.
このうち, $ a_0=a_1=\cdots=a_{p-1} $ ,つまり周期0であるものは $ c $ 個あり, $ p >1 $ となるものは $ c^p-c $ 個ある.
数列 $ \{a_n\}_{n=0,1,\cdots} $ を用いて, $ p $ 個の周期数列 $ \{a_n^{(i)}\}_{n=0,1,\cdots} $ を, $ a_n^{(i)}=a_{n+i} $ , $ n=0,1,\cdots $ により定義した. そのうちの1つの数列 $ a_n^{(i_0)} $ をとる.これを用いて同様に数列を作る. \[ a_n^{(i)}=a_{n+i_0+i} \] となるので, $ i_0+i\equiv j\quad (\bmod \ p) $ となる $ j $ をとれば, $ \{a_n\}_{n=0,1,\cdots} $ を用いて作った $ a_n^{(j)} $ になる.
よって, $ p >1 $ である数列 $ \{a_n\} $ の集合は, たがいに共通なもののない $ p $ 個ずつの部分集合の和となる. これより, $ c^p-c $ は $ p $ の倍数である.
※ 周期 $ p $ の周期順列は,円周上に $ p $ 個の点を取り, 0 から $ p-1 $ の番号をつけ, そこに $ p $ 個の数を並べたものに対応している.
(2)の順列 $ \{a_n^{(i)}\}_{n=0,1,\cdots} $ は, その円順列の $ i $ 番の点の数からはじめる数列である.
このように円順列と対応させて考えれば,(3)もわかりやすい.