2020年入試問題研究に戻るお茶の水女大理後期2番解答
(1) 正 $ n $ 角形の頂点 $ \mathrm{A} $ に対して,直線 $ \mathrm{OA} $ が $ x $ 軸の正の方向となす角を,頂点 $ \mathrm{A} $ の偏角という. 頂点 $ \mathrm{A}_m $ が移った先の偏角を $ \beta $ とする. \[ \dfrac{1}{2}\left\{\dfrac{2(m-1)\pi}{n}+\beta \right\}=\dfrac{2(k-1)\pi}{n} \] が成り立つ.これより, $ \beta=\dfrac{2(2k-m-1)\pi}{n} $ である.よって,頂点 $ \mathrm{A}_m $ が移った先の座標は \[ \left(\cos\dfrac{2(2k-m-1)\pi}{n},\ \sin\dfrac{2(2k-m-1)\pi}{n} \right) \] である.
(2) 2回目の操作で移った先の偏角を $ \gamma $ とする. \[ \dfrac{1}{2}\left(\beta+\gamma \right)=\dfrac{2(l-1)\pi}{n} \] が成り立つ.これより, $ \gamma=\dfrac{2(2l-2k+m-1)\pi}{n} $ である.よって,頂点 $ \mathrm{A}_m $ が移った先の座標は \[ \left(\cos\dfrac{2(2l-2k+m-1)\pi}{n},\ \sin\dfrac{2(2l-2k+m-1)\pi}{n} \right) \] である.
(3) (1),(2)より $ j $ が奇数なら点の並びは番号に対して時計回りに変わり, $ j $ が偶数なら点の並びは番号に対して反時計回りのままとなる.
頂点の相互関係は変わらないので,同時に元の位置に戻るのは, 操作の回数が偶数であることが必要で,このとき $ \mathrm{A}_1 $ が $ \mathrm{A}_1 $ の元の位置に戻ればよい.
(1)より,1回の折り返しで,どの点も元の位置から偏角が $ \dfrac{2\pi}{n} $ の偶数倍離れた点に移る. よって, $ j $ 回の操作の後,点 $ \mathrm{A}_1 $ は $ \mathrm{A}_1 $ の元の位置から偶数倍離れた点にある. よって,その $ \mathrm{A}_1 $ を $ \mathrm{A}_1 $ の元の位置に戻す折返しがただ1つ存在する.
$ n $ が偶数なら頂点を通る折返し軸は $ \dfrac{n}{2} $ 本あるので, その $ \mathrm{A}_1 $ が $ \mathrm{A}_1 $ の元の位置に戻る確率は $ \dfrac{1}{\frac{n}{2}}=\dfrac{2}{n} $ である.
$ n $ が奇数なら頂点を通る折返し軸は $ n $ 本あるので, $ \mathrm{A}_1 $ が $ \mathrm{A}_1 $ の元の位置に戻る確率は $ \dfrac{1}{n} $ である.
以上より求める確率は \[ \left\{ \begin{array}{ll} 0&(jが奇数)\\ \dfrac{1}{n}&(jが偶数でnが奇数)\\ \dfrac{2}{n}&(jが偶数でnが偶数) \end{array} \right. \] となる.(4) $ j $ が奇数なら0である. $ j $ が偶数のとき.2回後,…, $ j-2 $ 回後に $ \mathrm{A}_1 $ が元の位置になく, $ j $ 回後に元の位置に戻るので, \[ \begin{array}{l} nが奇数なら,\left(1-\dfrac{1}{n} \right)^{\frac{j-1}{2}}\cdot\dfrac{1}{n}\\ nが偶数なら,\left(1-\dfrac{2}{n} \right)^{\frac{j-1}{2}}\cdot\dfrac{2}{n} \end{array} \] である.