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滋賀医大1番解答

(1) Pを通る傾き1の直線と$x$軸の交点を$(a,\ 0)$とする。$a$は有理数である。 この直線と曲線の交点がPである。Pを求める。 直線の方程式は$y=x-a$なので,$x^2-y^2=1$に代入して \[ x^2-(x-a)^2=1 \] これから$x=\dfrac{1+a^2}{2a}$,$y=\dfrac{1-a^2}{2a}$ となり,共に有理数である。

(2)  (1)で求めた点Pと原点との距離は \[ \sqrt{\left(\dfrac{1+a^2}{2a} \right)^2+\left(\dfrac{1-a^2}{2a} \right)^2} =\sqrt{\dfrac{1}{2}\left(a^2+\dfrac{1}{a^2} \right)} \] である。 \[ \lim_{a\to \infty}\left(a^2+\dfrac{1}{a^2} \right)=+\infty \] であるから,任意の正の実数$r$に対して,原点との距離が$r$より大きい点Pがある。

(3)  曲線$x^2-6y^2=7$上に有理点があるとし,それを$\left(\dfrac{q}{p},\ \dfrac{s}{r} \right)$とする。 これを$x^2-6y^2=7$に代入して$q^2r^2-6p^2s^2=7p^2r^2$となる。 つまり方程式$X^2-6Y^2=7Z^2$を満たす整数解が存在することになる。
これを$(\alpha,\ \beta,\ \gamma)$とする。$\alpha,\ \beta,\ \gamma$の最大公約数は1であるとしてよい。 $\alpha^2-6\beta^2=7\gamma^2$が成り立つとき,$\alpha$と$\gamma$の偶奇は一致する。
ありうる$(\alpha,\ \beta,\ \gamma)$の偶奇の配置は次の場合であるが,それぞれ$\alpha^2-6\beta^2=7\gamma^2$の成立を確認すると,

(i) (奇数,奇数,奇数)のとき: $\alpha^2-6\beta^2\equiv 1+2\ (\bmod \ 8),\ 7\gamma^2\equiv 7\ (\bmod \ 8)$
(ii) (奇数,偶数,奇数)のとき: $\alpha^2-6\beta^2\equiv 1+0\ (\bmod \ 8),\ 7\gamma^2\equiv 7\ (\bmod \ 8)$
(iii) (偶数,奇数,偶数)のとき: $\alpha^2-6\beta^2\equiv 0+2\ (\bmod \ 4),\ 7\gamma^2\equiv 0\ (\bmod \ 4)$
となり,いずれの場合も等号が成り立たない。
よって,$\alpha^2-6\beta^2=7\gamma^2$を満たす整数の組は存在しない。 この結果,曲線$x^2-6y^2=7$上に有理点がないことが示された。

問題