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連続な確率

例えば,ある人が6時から7時のいずれかの時刻に駅に着く. 6時から7時のいずれかの時刻に着く確率も等しい.

この場合,試行の結果は,着く時刻の全体である. 6時5分から10分の間に着く確率は何か.

これは $\dfrac{5}{60}=\dfrac{1}{12}$である.

このことは理解しやすい.しかし根元事象の確率,ちょうど6時3分に着く確率は0である. ここに違いがある.

いずれにせよ,確率空間が,実数の区間,平面領域,あるいは空間領域となり, その何れが起こるかが同様に確からしいとする.

そして,その一部が該当する事象に対応するばあい, その事象の確率が,長さの比や面積,体積の比になることは,理解しやすい.

連続的な確率もときに入試問題として出題されるが, その場合は何をもって確率とするのかが指示される.

一般的には,和に変えて積分が必要になる. 確率の考え方が理解できているときには, 積分の意味を理解すれば, これを連続的な確率の場合に一般化すること自体は難しくない.

以下は,数学IIIの微積分が必要である.

確認問題 5       解答5

次の確率を求めよ.

  1. 1本の線分を無作為に2ヵ所で切断し,三つの線分を得る. こうして得られた3本の線分が三角形を作る確率.
  2. 同じ長さの3本の線分を無作為に切断し,一方の側を取り出す. こうして得られた3本の新たな線分が三角形を作る確率.
  3. 1本の線分を無作為に2ヵ所で切断し,三つの線分を得る. こうして得られた3本の線分が鋭角三角形を作る確率.
  4. 同じ長さの3本の線分を無作為に切断し,一方の側を取り出す. こうして得られた3本の新たな線分が鋭角三角形を作る確率.

連続的な確率で,もっとも有名であり重要なものは ビュッホンの針と言われる問題である.

例 9        平面上に互いの距離が $2a$ である多くの平行線が引かれている. この平面上に長さが $2a$ の細い針を落とす.このとき針が一つ の直線と交わる確率を求めよ.

解答


長さが $2a$ の針の中点が一つの直線から $x$ の距離のところに落ちるとする. 針と,直線と直交する方向のなす角を $\theta$ とする.対称性を考慮し

\begin{displaymath}
0\le x\le a\ , \quad 0\le \theta \le \dfrac{\pi}{2}
\end{displaymath}

としてよい.

このときこのとき針がこの直線と交わるのは

\begin{displaymath}
a \cos \theta \ge x
\end{displaymath}

のときである. $x\theta$ 平面の領域

\begin{displaymath}
S_1=\{(x,\ \theta)\ \vert\ 0\le x\le a\ , \quad 0\le \theta \le \dfrac{\pi}{2}\}
\end{displaymath}

のなかで 領域

\begin{displaymath}
S_2=\{(x,\ \theta)\ \vert\ (x,\ \theta)\in S_1,\ a \cos \theta \ge x\}
\end{displaymath}

の占める面積は

\begin{displaymath}
\int_0^{ \frac{\pi}{2}}a \cos \theta \, d\theta=a
\end{displaymath}

ゆえに求める確率は $S_1$ の面積が $\dfrac{a\pi}{2}$ であるから

\begin{displaymath}
\dfrac{a}{\frac{a\pi}{2}}=\dfrac{2}{\pi}
\end{displaymath}

となる.
問題 9       [01東大後期理科]    解答9

  1. 図1のように,等間隔 $h$ で格子状に互いに直交する2組の無数の平行線が引い てある平面が与えられている.その上に半径1の円 $C$ を無作為に落とすとき, この円がちょうど2本の線と交わる確率 $p$ を求めよ.
  2. 図2のように,半径$\sqrt{2}+1$の円が重複なく,かつ隣り合う円と接して無数に 敷き詰められた平面がある.この上に半径1の円 $C$ を無作為に落とすとき,その 円 $C$ が平面上のちょうど3つの円と交わる確率 $q$ を求めよ.

ただし解答にあたり次のことを用いてよい.

平面上に共に原点 O を始点とする一次独立な2つのベクトルabを考え,点 O とaba+bの3つのぺクトルの終点の4点を頂点とする平行四辺形を $E$ とする. $E$ の領域 $F$ に対して, $F$abの整数係数の一次結合 $m$a+ $n$bによって平行移動したもの全体の和集合を $D$ とする.即ち記号で書くと

\begin{displaymath}
D=\{{\rm {\bf x}}+m{\rm {\bf a}}+n{\rm {\bf b}}\ \vert
\ {\rm {\bf x}}\in F,\ m \in {\rm Z},\ n \in {\rm Z}\}
\end{displaymath}

とおく.ここで Z は整数全体を表す.

このとき平面に1点 $P$ を無作為に落とすとき,その点が $D$ 内に落ちる確率は, $F$ の面積の平行四辺形 $E$ の面積に対する比になっている.


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Aozora
2015-08-02