次: 連分数と格子点
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二つの実数 と が,整数でかつ である によって
となっているとき, と は 対等 であるという.
なら,
であるから,
一方が他方に対等であれば逆も対等である.対等もまた同値関係である.
定理 51 (対等な無理数の基本性質)
と
が対等な無理数で,
かつ,
ならば,
の連分数展開の途中に
が現れる.
■
証明
とする, と は互いに素なのでそのユークリッドの互除法を
とする.
互いに素な整数の組の展開の個数 は偶数奇数いずれにもできるので,
となる方の にしておく.
とおく.つまり
すると,
でさらに
,つまり
.
よって より,
.
ところが と は互いに素であるから, は で割り切れる.
他方 かつ
より, .
したがって である.
その結果 になる.
したがって,
自身が
の展開を用いて
となる.つまり
となる.
であるから,
展開の一意性より の連分数展開(の一部)そのものである.□
連分数展開の途中に現れる実数は,つねに対等であることに注意しよう.
例 5.2.1
連分数展開によって
の近似分数列を求めよう.
こうして,
という近似分数列が得られる.
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