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素数の分布とは

素数を1から100までのなかで書くと

\begin{displaymath}
\begin{array}{l}
2,\ 3,\ 5,\ 7,\ 11,\ 13,\ 17,\ 19,\ 23,...
...53,\ 59,\ 61,\ 67,\ 71,\ 73,\ 79,\ 83,\ 89,\ 97
\end{array}
\end{displaymath}

の25個ある.ところが5900から6000のなかでは

\begin{displaymath}
5903,\ 5923,\ 5927,\ 5939,\ 5953,\ 5981,\ 5987
\end{displaymath}

の7個しかない. 5900から6000の間の数$N$$N=mn$と因数分解できて$m\le n$とすると,$N=mn\ge m^2$となるが

\begin{displaymath}
73^2=5329,\ 79^2=6241
\end{displaymath}

なので,小さい方の素因数は73以下である.73までの素数で順に割って割り切れるものを除くことで5900から6000の間の素数はこれだけであることがわかる.

正整数$n$が素数であるかどうかを判定したければ,$p^2 \le n$の範囲の素数$p$で割ってみればよい.いずれでも割り切れなければ素数と判定してよい.

例 7.1.1        1999は素数である.

$43^2=1849$$47^2=2209$なので, $2,\ 3,\ 5,\ 7,\ 11,\ 13,\ 17,\ 19,\ 23,\ 29,\ 31,\ 37,\ 41,\ 43$で割れるかどうかを調べればよい. いずれでも割り切れないので素数であることがわかる.

エラトステネスのふるい

このように, 順に素数で割って割り切れる数をふるいにかけて除く.$N$までの数に対して$\sqrt{N}$以下の素数まで調べる. そのいずれでも割りきれずに残ったものが$N$以下の素数である.

これが素数の選別法として有名なエラトステネスの篩(ふるい)である.エラトステネス(Eratosthenes,紀元前276頃〜前192頃)は古代ギリシアの数学者,天文学者,地理学者だった.はじめて赤道の周囲を測量し、約45000 km と算出した人でもある.主著は「地理学」である.

ところで「篩(ふるい)」とは何か. 「候補をふるいにかける」とか,「一次試験でふるい落とされる」などの言い方は残っているが「篩(ふるい)」そのものはなかなか見かけない.
1831年(天保2)に薩摩藩主島津重豪(しまづしげひで)が曾槃・白尾国柱らに命じて作らせた農業書『成形図説』 に図が載っているので紹介しよう.この書は農事・五穀・疎菜・薬草・草木・鳥類などについて,和漢洋の諸書で考証し,さらに綿密な図を掲げ,編纂させた百科全書である.全100巻の大部なものだ.和語,漢語,オランダ語の名前を記し,説明を付けている.

このような木製や竹製ではない現代のふるいは,工事しているところで小石を除くのに使われている.鉄製で電気で振動させている.


どのように素数が分布しているのかということを,素数の分布に関する問題という.これを考えるために,正の実数$x$を越えない素数の個数を$\pi(x)$と表そう.

\begin{displaymath}
\pi(100)=24,\ \pi(6000)-\pi(5900)=7
\end{displaymath}

である.

Aozora Gakuen