正整数が素数であるかどうかを判定したければ,の範囲の素数で割ってみればよい.いずれでも割り切れなければ素数と判定してよい.
,なので, で割れるかどうかを調べればよい. いずれでも割り切れないので素数であることがわかる.
これが素数の選別法として有名なエラトステネスの篩(ふるい)である.エラトステネス(Eratosthenes,紀元前276頃〜前192頃)は古代ギリシアの数学者,天文学者,地理学者だった.はじめて赤道の周囲を測量し、約45000 km と算出した人でもある.主著は「地理学」である.
ところで「篩(ふるい)」とは何か.
「候補をふるいにかける」とか,「一次試験でふるい落とされる」などの言い方は残っているが「篩(ふるい)」そのものはなかなか見かけない.
1831年(天保2)に薩摩藩主島津重豪(しまづしげひで)が曾槃・白尾国柱らに命じて作らせた農業書『成形図説』
に図が載っているので紹介しよう.この書は農事・五穀・疎菜・薬草・草木・鳥類などについて,和漢洋の諸書で考証し,さらに綿密な図を掲げ,編纂させた百科全書である.全100巻の大部なものだ.和語,漢語,オランダ語の名前を記し,説明を付けている.
このような木製や竹製ではない現代のふるいは,工事しているところで小石を除くのに使われている.鉄製で電気で振動させている.
どのように素数が分布しているのかということを,素数の分布に関する問題という.これを考えるために,正の実数を越えない素数の個数をと表そう.