例題 0.1
解答
点からは5本の線分が出ている.なので赤か青かのいずれかは 3本以上である.赤が3本以上出ているとし,とそれらの線分で結ばれた点のうち の3点を とする. この3点を結ぶ3本の線分のなかに赤があるとする. それを とすると, 3点 に対応する3人は互いに知り合いである.
を結ぶ3本の線分がすべて青とする.この場合, この3点に対応する3人は互いに見ず知らずである.
赤青逆の場合も同様に示される.
点から出ている16本の線分を考える. なので,少なくともひとつの色については6本の線分が出ている.その色を 青とし,それらの端点を とする.
これら6個の点を結ぶ線分の中に青色があればその線分の両端の点と でできる三角形が題意を満たす.
もしこれらの線分が赤色と黒色のみであったとする.
この6点のうちには(1)により,赤か黒の三角形が少なくとも一つは存在する.
したがって3辺が同じ色の三角形が存在することが示された.
太郎 これを 有限個の点がある.各2点を定まった色で塗り分ける場合, 点がいくつあれば,3辺が同色の三角形がつねに存在すると言えるのか. という問題に一般化してみました. 色の数をとし,次の漸化式で定まる数列を考えました. 色が一色の場合,3点あればよいので,とします.
証明 に関する数学的帰納法で示す. のときは成立するので,のとき点あれば同色の3辺の三角形が存在するとする.
個の点を で表す.これらの点が互いに色1,色2,…色の線分で結ばれている.
点から出ている本の線分を考える. なので,少なくともひとつの色については本の線分が出ている. その色を色1とし,それらの端点を とする.
これら個の点を結ぶ線分の中に色1があればその線分の両端の点と でできる三角形が題意を満たす.
もしこれらの線分が色2〜色であったとする. この点のうちには帰納法の仮定によって,3辺が色2〜色のいずれかの三角形が少なくとも一つは存在する.
したがって3辺が同じ色の三角形が存在することが示された. □
太郎 この一般項は求まるのでしょうか.
南海 このように問題を一般化してとらえようとすることは,大切なことだ.
次のようにすれば,を書くことができる.
太郎
確かに
太郎 色の数を一般化しましたが,さらに一般化はできるのでしょうか.
南海
2点ずつ結んだ線分を色で塗り分ける.
3点を選ぶとその3つの辺の色が同じである.を
個の点を結んだ多辺形を色で塗り分ける.
個の点を選ぶとそのうちの個の点を結んだ多辺形はいずれも色が同じである.とする.また集合の各元を色で塗り分けるとは, から, への写像を定めることに他ならない. さらに「個の点」と言うところを,色によってその個数の指定を変えてもよい. つまり に対して「個の点」としたほうがより一般的になる.
その上で,先の問題を一般化すれば次のようになる.
集合の個の元からなるすべての部分集合の集合をと表す.
今後は,色の塗り分けで考えたり,写像で考えたりするが, それは同じことである.