南海 ならその中に一定の構造が存在する,これが成り立つの存在は示せた. 次の問題はの上限と下限を求めるということだ. しかし一般にこれはたいへん難しい. とくに下限はほとんどの場合わからない.
太郎 そうなのですね.色の数をにした場合,三角形ができるための上限公式は先に導けました.
南海 ここで,つまり2点を結ぶ線分を色で塗り分ける場合に一般化しよう.
のときは
太郎 は何を意味していたか再確認します.
自然数 をとる.個の点の集合をとする. の2点を結ぶ線分を赤色と青色で塗り分ける. の個からなる部分集合でその線分がすべて赤色か, 個からなる部分集合でその線分がすべて青色であるものが存在する.
を示します. 個以上の点の集合をとする. の2点を結ぶ線分を赤色と青色で塗り分ける. すべてが赤色で塗られていればとする. 青色の線分が存在すれば,その2点をとする.
この部分はこれでいいでしょうか.
南海 いや,以下ではできない反例を示すことが必要だ.
太郎 以下の場合,すべてを赤でぬれば, の個からなる部分集合でその線分がすべて赤色のものも, 個からなる部分集合でその線分がすべて青色であるものも存在しません.
南海 そう.これ自体は難しくないが,このように下の限界を示すことが大切なのだ.
太郎 つぎに不等式を示すためには, であれば, 先の命題が成り立つことを示せばよい.
不等式
右辺は,個の集合の各2点を結ぶ線分を2色で着色すれば, 赤の線分が あるか, 青の線分が あるかを意味します.
いずれもがなければ,その合計は より小さいはずだからです.
個の点の一つを固定し,そこから残る個の点を赤か青の線分で結ぶ. このとき,赤の線分の端点が 以上あるか, 青の線分の端点が 以上あるか,その少なくとも一方は成り立つ.
赤の線分の端点が 以上あるとする. それらの端点の個からなる部分集合でその線分がすべて青色であるものが存在するなら,それでよい. それらの端点の個からなる部分集合でその線分がすべて赤色であるものが存在するなら, それにはじめの1点を加えた個からなる部分集合はその線分がすべて赤色である.
青の線分の端点が 以上ある場合も同様である.
したがって,が 以上であることは, の個からなる部分集合でその線分がすべて赤色か, 個からなる部分集合でその線分がすべて青色であるものが存在するための十分条件である.
よってその最小値
は
太郎 この考え方なら色の数がの場合も同じことですね. ここで書いてみます.
定理4の証明 のとき. を示す.
個以上の点の集合をとする. の2点を結ぶ線分を色で塗り分ける. すべてが色で塗られていればとする. 色以外の線分が存在すれば,その色をとするとき,その2点をとする.
以下の場合,すべてを色でぬれば, の個からなる部分集合でその線分がすべて色のものも, 個からなる部分集合でその線分がすべて色であるものも存在しない.
次に不等式は
をとり,個の点の一つを固定する. そこから残る個の点を色で塗り分ける. このとき, なので, 色の線分の端点が 以上あるようなが存在する.
に対し端点の個からなる部分集合でその線分がすべて色であるものが存在するなら,それでよい. それらの端点の個からなる部分集合でその線分がすべて色であるものが存在するなら, それにはじめの1点を加えた個からなる部分集合はその線分がすべて色である. したがって,このに対しての個からなる部分集合でその線分がすべて色であるものが存在した. □
太郎 上限に関する漸化不等式ができたので,これから具体的に上限を表したいです.
南海
定理4はのときはきれいな形である.この場合は可能だ.
太郎
のときは
でした.
一般の場合は難しそうです.
南海 さらに下限を確定することは難しい.