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余弦定理と正弦定理

美樹  こうしてみると,余弦定理と加法定理が基礎なのですね. 正弦定理はどのような位置にあるのでしょうか.

南海  正弦定理は余弦定理から導くことができる.

美樹  余弦定理と正弦定理は別々の定理のように習います.

南海  $\bigtriangleup \mathrm{ABC}$があり, 各頂点の対辺の長さを$a,\ b,\ c$とする.

\begin{eqnarray*}
&&\cos A=\dfrac{b^2+c^2-a^2}{2bc},\ \\
&&\cos B=\dfrac{c^2+a^2-b^2}{2ca},\ \\
&&\cos C=\dfrac{a^2+b^2-c^2}{2ab}
\end{eqnarray*}

が成り立つ.

正弦定理とは,外接円の半径を$R$とするとき,

\begin{displaymath}
\dfrac{a}{\sin A}=
\dfrac{b}{\sin B}=
\dfrac{c}{\sin C}=2R
\end{displaymath}

が成り立つことをいうものだ.

ところで三角形の内角なので,$\sin$はすべて正だから

美樹  平方したものを比べればよい.

\begin{eqnarray*}
&&\dfrac{a}{\sin A}=\dfrac{b}{\sin B}\\
&\iff&\dfrac{a^2}{\si...
...\iff&(a+b-c)(-a+b+c)(a+b+c)(a-b+c)=(a+b-c)(a-b+c)(a+b+c)(-a+b+c)
\end{eqnarray*}

これは成立する.

これで同様にして

\begin{displaymath}
\dfrac{a}{\sin A}=
\dfrac{b}{\sin B}=
\dfrac{c}{\sin C}
\end{displaymath}

まで示せました.

この式の値が外接円の直径であることを示せば,正弦定理が示せます.

南海  3つの角のうちどれかは鋭角だ. $A$が鋭角であるとして,2点 $\mathrm{B},\ \mathrm{C}$を 固定したまま,点$\mathrm{A}$を外接円周上を動かす.

美樹  わかりました.このように点$\mathrm{A}$を動かしても, $\dfrac{a}{\sin A}$の値は不変です.

ですから,$\mathrm{BA}$が直径になるときを考えると,

\begin{displaymath}
2R\sin A=a
\end{displaymath}
がわかります.

 

 


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