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座標

南海  今回は,座標とベクトルを見直し,そのうえで座標平面と関数のグラフの関係や意味を 考えたい.また,空間ベクトルと空間座標についても,いくつか考えよう.

ところでまず平面で座標とは何か.

史織  平面上の点を $(1,\ 4)$ のように数の組で表すこと,ですか.

しかし極座標というのもあるから,よく考えなければ.

南海  平面上の点を数の組で表す,ということは正しい.その方法がいろいろある.

図1のように,2本の数直線をそれぞれの0の点で直角に交わるようにして平面におく. この交点を原点と呼ぶ.

平面上の各点からこれら2本の数直線に垂線を下ろし,それぞれの交点の値が $a$$b$ である とすれば,この点に数の組 $(a,\ b)$ を対応させる.するとこの対応は一対一対応で, 平面上のすべての点を数の組 $(a,\ b)$ で完全に表すことができる.

史織  これが直交座標ですね.

南海  極座標を説明しよう.

図2のように,基準の半直線 $\mathrm{OX}$ を定める. 始点 $\mathrm{O}$ と点 $\mathrm{P}$ を結ぶ直線が半直線 $\mathrm{OX}$ となす角を定める. つぎにその角の方向から見た $\mathrm{O}$$\mathrm{P}$の距離をとる. この距離は負でもよい.これで点 $\mathrm{P}$ に数の組を対応させることができる. これが極座標だ.

この場合も一対一対応だろうか.

史織  いや,例えば $(1,\ 30^{\circ} )$ $(1,\ 390^{\circ} )$は同じ点です.

南海  角度を度数法で表すと,これは一般的な「数」ではない.極座標ではやはり弧度法で $\left(1,\ \dfrac{\pi}{6}\right)$ $\left(1,\ \dfrac{\pi}{6}+2\pi\right)$ といわねばならない.

いずれにしても表し方は一通りではない. さらに $\left(1,\ \dfrac{\pi}{6}\right)$ $\left(-1,\ \dfrac{\pi}{6}+\pi\right)$ はどうか.

史織  これも同じ点になります.

南海  このように極座標では数の組と平面の点は一対一対応ではないが, 数の組によって点が定まることは確かなのでこれも座標といえる.

ついでに言えば複素数の極形式 $z=r(\cos \theta+i\sin \theta)$ 表示では $r$$\vert z\vert$ のことなので非負の値にとる約束だ.が,極座標$(r,\ \theta)$$r$ は任意の実数でよい.

平面の同じ点が直交座標で $(x,\ y)$ ,極座標で $(r,\ \theta)$ となったとすると これらの間には相互の関係式がある.

史織  はい.

\begin{displaymath}
x=r \cos \theta ,\ y=r \sin \theta
\end{displaymath}

です.

南海  角は一般角だから当然周期 $2\pi$ で同じ点になる.さらに

\begin{displaymath}
r \cos \theta=(-r)\cos(\theta+\pi) ,\ r \sin \theta=(-r)\sin(\theta+\pi)
\end{displaymath}

なので $(r,\ \theta)$ $(-r,\ \theta+\pi)$も同じ点を定める.

史織  ところで今は平面の場合でした.空間の場合,直交座標は習いますが,極座標があるのですか.

南海  それは次のようにすればよい.

このとき

\begin{displaymath}
x=r \cos \theta\cos \varphi ,\ y=r \cos \theta\sin \varphi,\ z=r\sin \theta
\end{displaymath}
になる.

角度は軸から動経の方にはかるとする. また角 $\theta$$z$ 軸の正の方からはかる方式もある.

さて,数学の問題に対し,座標の方法によって何ができるか.

  1. 図形問題を式に移して考えることができる.
  2. 逆に関数を視覚的に考えることができる.
この二つはたがいに関連しているし,実際関連して発展してきた.



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