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命題関数と真理集合

史織  命題関数の値域は真か偽の二つであるということはわかりました. 関数というかぎり定義域もあるのですね.

南海  定義域というのは,普通の関数と同じく命題関数 $p(x)$ によっても規定されるし, またそのうちのどこを定義域とするかを定めることもできる.

例えば

\begin{displaymath}
p(x) :「x>4」
\end{displaymath}

なら必然的に定義域は実数範囲だが,さらにそのうち整数だけを定義域とすることもできる.

さて,$U$ を定義域とする命題関数 $p(x)$ に対して, $U$ の部分集合 $T$

\begin{displaymath}
T=\{\ x\ \vert\ p(x)=真,\ x \in U\ \}
\end{displaymath}

で定め,これを命題関数 $p(x)$真理集合という. $T$$T_p$ のように $p$ を 明記して書くこともある.

史織  上の $p(x)\ :\ x>4$ を定義域を実数として考えると,まず $p(x)$ は 「実数 $x$ に関する条件 $x>4$ 」のことで, $p(x)$ の真理集合とは,実数 $x$ で 条件$x>4$を満たすものの集合のことです.

すると方程式や不等式の解も真理集合ですね.

南海  するどい.2次方程式

\begin{displaymath}
x^2-3x+2=0
\end{displaymath}

$x$ に関する条件とも考えられる.定義域は複素数全体 $C$ だ.

\begin{displaymath}
p(x)\ :\ x^2-3x+2=0
\end{displaymath}

このとき

\begin{displaymath}
T=\{\ x\ \vert\ p(x)=真,\ x \in C\ \}=\{\ 1,\ 2\ \}
\end{displaymath}

となり,まさに解の集合だ.

このように,命題関数,つまり「条件」を考えるときはその真理集合を同時に考えるとよい.



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