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命題と命題関数


南海  確かに.教科書では「条件」とは何かについて,明確には述べられていない.

教科書では,命題よりも先に必要条件や十分条件,つまりは「条件」が出てくる構成になっている. そのため「条件」とは何かが明確にならないのだ.

「命題」ははっきりとわかったものとし,これを基本にして,順次考えていこう.

史織  条件を組み合わせて「命題」ができるので,「条件」を先に定義しないといけないと思うのですが, 命題が先なのですか.

南海  そうだ.いくつか「命題」をあげてほしい.

史織  真か偽が明確に定まる文章や式,だから…

  1. 6は偶数である.
  2. 6は奇数である.
  3. $2+3=5$
  4. $5>9$
  5. $\sqrt{2}$は無理数である.
  6. $\sqrt{2}$は有理数である.
  7. $\sqrt{2}$は複素数である.
  8. 16は4の倍数である
  9. $x$ が4の倍数であるならば $x$ は2の倍数である.
最初の八つは断定型,最後のが推論型です.

南海  するとちょっと質問だが,最後の例の前後を逆にした, 「$x$ が2の倍数であるならば $x$ は4の倍数である.」は命題か.

史織  $x$ が8ならいいが,6のときは成り立たない.ということは「反例」があったということ. つまり「$x$ が2の倍数であるならば $x$ は4の倍数である.」は偽です. つまり偽と判断できるのでこれも命題です.

南海  その通り.これはもとの命題の「逆」というのだ.これについては後に詳しく考えよう.

さて「16は4の倍数である」は命題であるが,この16を変数 $x$ に変えた 「 $x$ は4の倍数である」は ,$x$ に何が入るのかによって真になったり偽になったりする.

先に言ったように,命題の基本型である断定型は, 一般に命題は主部(何について述べるか)と述部(述べた内容)よりなるが, その主部を適当な変数,例えば $x$ などに置きかえたものを命題関数 という.そしてこれを $p$ や,変数を明確にしたいときは $p(x)$ のように書く.

例えば, $p(x)$ :「$x$ は偶数である.」のようなものだ. 命題関数 $p(x)$ はそれ自体真偽が定まらないから命題ではない. $x$ に値を代入することによって命題になる.

  1. $p(3)$ ,つまり「3 は偶数である.」は偽.
  2. $p(4)$ ,つまり「4 は偶数である.」は真.
というわけだ.

史織  関数というからには何かの値をとるのですね.この場合の値は何ですか.

南海  「真」と「偽」だ.この二つの値をとる.だから上の例では $p(3)=偽,p(4)=真$ というわけだ.

さてそこで「条件」だが,命題関数 $p(x)$ のことを「 $x$ に関する条件」ともいうのだ.

史織  命題の定義にたちかえっていうと,文字を $x$ とすれば, 条件とは「$x$ に代入することによって真偽が定まる式や文章」のことですね.

南海  そのように考えてよい. 何となく使ってきた「条件」もこのようにして明確に定義される.

史織 

\begin{displaymath}
2次方程式\ x^2+ax+b=0 は実根をもつ
\end{displaymath}

は,文字 $a$$b$ に関する条件,と理解してきました.上の書き方では命題関数 $p$

\begin{displaymath}
p(a,\ b) :「x^2+ax+b=0 は実根をもつ」
\end{displaymath}

となり, $a^2-4b \ge 0$を満たす $a$$b$ なら真,そうでなければ偽の値をとるのです.

南海  これからは必要に応じて 「命題関数」といったり「条件」といったりするが,同じことだと考えてよい. 「条件」がはっきりした.これをもとにいろいろ考えよう.



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