南海 自然数の公理を満たすものがいくつもあっては困る. しかし実は一つしかないことが示される.
定理 2
自然数の集合 はすべて同型である.つまり二つの自然数の集合 と があるとする. と のあいだの1:1対応 で
証明 の への埋め込み(中への同型対応) を数学的帰納法で定める.
つまり,次のようにを構成する.
は集合{1,2,…,k}からへの写像.これができたとき,これを用いて{1,2,…,k,k+1}からへの写像 を,1,2,…,kに対してはと同じk+1に対してで定める.
この
に対して
南海 この自然数の集合には,和と積という演算が定義される.
和の定義 に対して, を作る演算を次のように定める.
このとき がただ一通りに決まり次の性質を持つ.
南海 これはゆっくりやればできるので,やってみてほしい.
およそこのようにして,自然数は厳密に定義される. それから有理数が構成され,実数,複素数と進んでいくのだ.
史織 このようにある意味では単純に定義される自然数が,因数分解をもち,素数というものがあり, いろんな未解決の問題があるというのは不思議です.
南海
まったく同感.