next up previous
次: SL(2)の分解 上: 方程式の不変式 前: 方程式の不変式

判別式だけか

耕介  そこで質問です.

2つの不変式を知りました.

第1.
方程式の$SL(2)$の変換に関して判別式や終結式は不変である.
第2.
$n$変数の変数の置きかえによる不変式,つまり対称式.
ところが,対称式の場合,
  1. $n$変数の対称式は無数にある.
  2. しかし,$n$個の基本対称式によって書き表すことが出来る.
が成り立ちます.すると,方程式の変換の場合も
  1. 不変式は判別式以外にもあるのか.
  2. それらはいくつかの不変式で書き表すことが出来るのか.
という問題が生まれます.

南海  そうだ. 問題を自分の方から設定するのは大変いいことだ. 高校範囲で出来ることにはかぎりがあるが, 2次方程式の変換による不変式が, 判別式,またはそのべきしかないことを確認していこう.

これからは不変式論の伝統にしたがって, $n$次の方程式を

\begin{displaymath}
f(x)=a_0x^n+\cdots+{}_n\mathrm{C}_ia_ix^{n-i}+\cdots+a_n
\end{displaymath} (5)

とおこう.

耕介  2次方程式の場合は

\begin{displaymath}
f(x)=ax^2+2bx+c=0
\end{displaymath}

で考えるのですね.すると,変換式(1)も変わります. $b$$b'$$2b$$2b'$に置きかえるので

\begin{displaymath}
(rx+s)^2f\left(\dfrac{px+q}{rx+s}\right)
=a'x^2+2b'x+c'
\end{displaymath}

とおくと

\begin{displaymath}
\left\{
\begin{array}{l}
a'=ap^2+2bpr+cr^2\\
2b'=2apq+2b(ps+qr)+2crs\\
c'=aq^2+2bqs+cs^2
\end{array}\right.
\end{displaymath}

となり第2式が

\begin{displaymath}
b'=apq+b(ps+qr)+crs
\end{displaymath}

となります.行列で書くと
\begin{displaymath}
\left(
\begin{array}{c}
a'\\ b'\\ c'
\end{array}\right)=
...
...right)
\left(
\begin{array}{c}
a\\ b\\ c
\end{array}\right)
\end{displaymath} (6)

となります. そして判別式は$D=4b^2-4ac$なので, $D/4=b^2-ac$について考えればいいです.

$SL(2)$の要素 $\sigma=
\left(
\begin{array}{cc}
p&q\\
r&s
\end{array}\right)$に対して,2次方程式の係数の変換(6)が定まる. この変換で不変なものが$b^2-ac$のみであることを示したい, ということですね.



Aozora Gakuen