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1の7乗根

耕一 次の問題をしました.

例 1.3.1   [98小樽商大]

\begin{displaymath}
\theta= \dfrac{2\pi}{7},\,\alpha=\cos \theta + i \sin \theta ,
\,\beta=\alpha + \alpha^2 +\alpha^4
\end{displaymath}

のとき,以下の問いに答えよ.
  1. $\overline{\alpha}=\alpha ^6$ を示せ.
  2. $\beta+\overline{\beta},\,\beta \overline{\beta}$ を求めよ.
  3. $\sin \theta +\sin 2 \theta+ \sin 4 \theta$ を求めよ.

耕一 解いてみます.

  1. $\alpha^7=1$ より $\alpha^6=\dfrac{1}{\alpha}$ . 一方, $\vert\alpha\vert=1$ より $\overline{\alpha}=\dfrac{1}{\alpha}$

    \begin{displaymath}
∴ \quad \overline{\alpha}=\alpha ^6
\end{displaymath}


  2. \begin{displaymath}
\alpha^7-1=(\alpha-1)(\alpha^6+\alpha^5+\cdots+\alpha+1)=0
\end{displaymath}

    $\alpha\ne 1$ なので

    \begin{displaymath}
\alpha^6+\alpha^5+\cdots+\alpha+1=0
\end{displaymath}

    また

    \begin{eqnarray*}
\overline{\beta}&=&\overline{\alpha} + \overline{\alpha}^2 +\...
...pha^6+\alpha^{12}+\alpha^{24}\\
&=&\alpha^6+\alpha^5+\alpha^3
\end{eqnarray*}

    ゆえに

    \begin{eqnarray*}
\beta+\overline{\beta}&=&-1\\
\beta \overline{\beta}&=&(\al...
...lpha^9+\alpha^7)\\
&=&2+(\alpha^6+\alpha^5+\cdots+\alpha+1)=2
\end{eqnarray*}

  3. $\beta$ $\overline{\beta}$ は二次方程式

    \begin{displaymath}
t^2+t+2=0
\end{displaymath}

    の二つの解である.

    \begin{displaymath}
∴ \quad \beta,\ \overline{\beta}=\dfrac{-1\pm \sqrt{7}i}{2}
\end{displaymath}

    \begin{eqnarray*}
\beta&=&\alpha + \alpha^2 +\alpha^4\\
&=&(\cos \theta +\cos...
...+ \cos 4 \theta)
+i(\sin \theta +\sin 2 \theta+ \sin 4 \theta)
\end{eqnarray*}

    であるから

    \begin{displaymath}
\sin \theta +\sin 2 \theta+ \sin 4 \theta=\pm\dfrac{\sqrt{7}}{2}
\end{displaymath}

    ところが

    \begin{displaymath}
\sin \theta +\sin 4 \theta=2\sin\dfrac{5}{2}\theta \cos \dfrac{3}{2}\theta>0
\end{displaymath}

    なので

    \begin{displaymath}
\sin \theta +\sin 2 \theta+ \sin 4 \theta=\dfrac{\sqrt{7}}{2}
\end{displaymath}

耕一  この問題で $\beta=\alpha + \alpha^2 +\alpha^4$ と置いたのですが, なぜこのようにとるとうまくいくのかわかりません. $\beta=\alpha + \alpha^2 +\alpha^3$ では $\beta\overline{\beta}$ が実数になりません.

南海  なるほど. 出題者はなぜこのような和を作ったのかということだ.

耕一  同じことを1の11乗根でやってみました.

$\theta= \dfrac{2\pi}{11},\,\alpha=\cos \theta + i \sin \theta$として, 上の場合 $\alpha$$\alpha^2$$\alpha^4$ ときたのでまねをして,

\begin{displaymath}
\beta=\alpha + \alpha^2 +\alpha^4+\alpha^8+ \alpha^{16}
=\alpha + \alpha^2 +\alpha^4+\alpha^8+ \alpha^5
\end{displaymath}

としました.そして $\beta\overline{\beta}$ を計算してみたのです.でも簡単な数にならないのです.

\begin{eqnarray*}
&&\beta \overline{\beta}\\
&=&(\alpha + \alpha^2 +\alpha^4+...
... +3(\alpha^3+\alpha^4+\alpha^7+\alpha^8)+2(\alpha^9+\alpha^{10})
\end{eqnarray*}

なぜなのでしょう.

南海  このからくりを知るためには, $\beta$ を構成する $\alpha$ のべきを途中で切らずに最後まで書いてみればよい.

\begin{eqnarray*}
p=7&:&\{\alpha,\ \alpha^2,\ \alpha^4,\ \alpha^8(=\alpha)\}\\ ...
...lpha^9,\ \alpha^7,\ \alpha^3,\ \alpha^6,\ \alpha^{12}(=\alpha)\}
\end{eqnarray*}

となるから, $p=11$ のときに作った $\beta$ は尻切れトンボだったのだ.

$p=11$ のとき, $2^n-1$$p$ の倍数になるのは $n=10=p-1$ が最初だけれど,

$p=7$ のとき, $2^n-1$$p$ の倍数になるのは $n=6=p-1$ が最初ではなく $n=3$ ですでになってしまう.だからちょうど $\beta$ $\overline{\beta}$ の積がきれいになった. $p=11$ のときはすべて加えないときれいにならない.

「2は11を法とする原始根であるが,7を法としたときは原始根でない」という事実がある. 詳しくは整数論の入門書を読んでみるといいだろう.

そこでせっかく1のべき根に関する質問が出されたので, 1の17乗根を求める方法を紹介しよう.


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