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1の5乗根の計算

南海  さて $p=7$ の場合, $\beta$ を 求めることはできた. $p=11$ の場合はこのようなことはできない.

逆にある種の $p$ では, $\beta$ を求めることができてさらにそこからさかのぼって もとの $\alpha$ を求めることができる.

耕一  $p$ 乗根 $\alpha$ 自体が求まる,ということですね.5乗根はやったことがあります.

南海  では,まず1の5乗根の計算を復習しよう. $p=5$ は上のどちらの型かな.

耕一  $ \theta= \dfrac{2\pi}{5},\,\alpha=\cos \theta + i \sin \theta $ とします.

\begin{displaymath}
\alpha,\ \alpha^2,\ \alpha^4,\ \alpha^8(=\alpha^3),\ \alpha^{16}(=\alpha)
\end{displaymath}

なので途中では $\alpha$ に戻りません.

$\alpha$ を求めます.

$\alpha^4=\overline{\alpha}$ です.両辺2乗してから $\alpha^8(=\alpha^3)=\overline{\alpha^2}$ です.

また $\alpha\overline{\alpha }=1$ です.

\begin{eqnarray*}
\alpha^4+\alpha^3+\alpha^2+\alpha+1&=&\overline{\alpha}+\over...
...\
∴ \quad \alpha+\overline{\alpha}&=&\dfrac{-1\pm\sqrt{5}}{2}
\end{eqnarray*}

したがって $\alpha$ $\overline{\alpha}$ は二次方程式

\begin{displaymath}
t^2- \left(\dfrac{-1\pm\sqrt{5}}{2} \right)t+1=0
\end{displaymath}

の解である.これを解いて

\begin{displaymath}
\dfrac{-1\pm\sqrt{5}}{4}\pm\dfrac{\sqrt{10\pm2\sqrt{5}}}{4}i \quad (第1と第3の複号同順)
\end{displaymath}

$\alpha$ は実部,虚部ともに正なので,

\begin{displaymath}
\alpha=\cos \dfrac{2\pi}{5} + i \sin \dfrac{2\pi}{5}
=\dfrac{-1+\sqrt{5}}{4}+\dfrac{\sqrt{10+2\sqrt{5}}}{4}i
\end{displaymath}



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