この証明では,先に1点で交わることを証明してもよいし, 先の定理の証明の考え方で,あとから垂心に関する問題として証明してもよい.
証明1
証明2 (証明1の後半と同様に,先に(3.3)を示す.その後次のように,3直練AA',BB',CC'が1点で交わることを示す.)
これを踏まえてフォイエルバッハの定理を証明しよう.
補題1と同様に,各頂角の二等分線と接円の交点を
とおく.この三点の座標を求める.
円周角と中心角の関係を見ることにより
補題1によって の垂心が の内心である. 補題1の証明と同様にして, の垂心として の内心を求めると,
次に内接円の半径
は内心と直線との距離である.
直線の方程式は
よって
傍接円の場合.
の二等分線と外接円の交点を,
の補角の二等分線と外接円の交点を
とする.
なので,点は点の原点に関する
対称点である.これから
が軸の正の方向となす角はそれぞれ
求めると
頂角
の二等分線と
の補角の二等分線が
の垂心となる点で交わることは補題1と同様に示される.
この交点が傍接円の中心である.
この交点をとおく.
耕一 たいへんな計算ですが,計算の方向ははっきりしています.
南海 そうなのだ.これをいくつもの補助線を引いて示すのは, 職人技的な技巧が必要だ. フォイエルバッハの定理の証明は『幾何学』(長友次郎吉著)に四つ載っている. また『幾何の有名な定理』(矢野健太郎著)には複素数平面において,複素数の計算による証明がある. 三角関数の計算による本証明はいずれにも載っていないが,本質的には複素数の計算によるものと同じだ.