太郎
二円の方程式を
とする.
ただし円の方程式であるから
の係数は1にとる.
このとき,方程式
とし,
を円
の外部の点とする.
このとき
は点
から円に引いた接線の長さの平方になる.
このことを用いて根軸の図形的な意味を考えることができる.
つまり,円の外部の点
から
に接線が引けるとき,接点を
接点
とすれば
が
で,かつ方程式
南海 最後の部分は91年の東大後期の問題でもあるのだが, 次にも使うので必要十分性の補題として証明しておいてほしい.
太郎 はい.
と
の直交しているとする.
三平方の定理より
逆に根軸上の接線が引ける位置にがあれば,
共有点をもつような半径
をとり,
式変形を逆にたどることで
と
の直交性がわかる.
□
南海
円の集合があってそのどの二つの根軸をとってもすべて一致するとき,
この円の集合を根軸によって定まる円束という.
二円
が共有点をもたないとする.
この二円の根軸と二円
の中心を結ぶ直線
との交点を
とする.
から
への接線の長さ
に対して
上の点で
太郎 どうして焦点というのですか.
南海
根軸が同じ円束をかいてみると図のように半径が小さくなると焦点に収束していく円列が得られる.
また,焦点を通る円を描いてみるとこれらはすべて円束と直交している.
このように二つの種類の円の集合が得られる.
太郎
実線の円の集合は
を焦点とする双曲線と関係があり,
点線の円の集合は
を焦点とする楕円と関係がありそうです.
南海 実線の円の集合を双曲的円束, 点線の円の集合を楕円的円束というのだ. この問題は今回はおいておくが,後日また考えたい.
定理 5
互いに交わらない二円がある.
二円の焦点
を中心とする反転でこれら二円は同心円にうつる.
■
一方,二円の中心と反転の中心は二円
の焦点を結ぶ直線
上にあるので,
円
の中心も
上にある.
従って円
の中心は
上かつ
上にあるので,
その交点に一致する.つまり円
の中心は一致する.
□
本定理は,一方の円が他方に含まれる場合も同様である.
南海 焦点による反転をもちいて定理4の別証明をしよう.
反転によって,
に
なるとする.この四点は
の反転円
の周上にある.
と
が直交するので,
と
は直交している.
定理3によって
次に
の根軸と
の交点を
とする.
から
に接線を引き接点までの長さ
をとる.
を中心とし
を半径とする円
に関して反転をおこなう.
は
と直交しているので,この反転でそれ自身にうつる.
は直線
にうつるが
の
と直交しているので,
これが
の中心を通る直線である.
がそれぞれ
にうつるとすると,
これが
と
の交点である.
再び定理3によって
太郎 反転と根軸を組みあわせて用いることで, 簡明に出来るのですね.