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曲線族と「束」

南海  実数 $k$ に対し, $k(x^2+y^2-1)+(x-3)^2+(y+2)^2-4 =0$ とすると,これはどのような図形を表しますか.

拓生  式を整理すると,

\begin{displaymath}
(k+1)x^2-6x+(k+1)y^2+4y-k+9=0
\end{displaymath}

となりますから, $k=-1$ のとき,直線になり, $k\ne -1$ のときは,両辺を $k+1$ で割って整理すると,

\begin{eqnarray*}
\left( x- \dfrac{3}{k+1} \right)^2
+\left( y+ \dfrac{2}{k+1}...
...{13}{(k+1)^2}+\frac{k-9}{k+1} \\
&=&\dfrac{k^2-8k+4}{(k+1)^2}
\end{eqnarray*}

$k^2-8k+4>0$ のとき円になり, $k^2-8k+4=0$のとき1点,さらに $k^2-8k+4<0$ のときは空集合,です.

南海  $k$ が大きくなるとどうなりますか.

拓生  $(x^2+y^2-1)+ \dfrac{1}{k}\{(x-3)^2+(y+2)^2-4 \} =0$ $k \to \pm \infty$ ですから, $x^2+y^2-1=0$ に近づいていく.

南海  そうです.まとめると

$k$ 表す図形
$+\infty$ $x^2+y^2-1=0$
$\vdots$
$4+2\sqrt{3}$ $\left( \dfrac{15-6\sqrt{3}}{13},\
\dfrac{-10+4\sqrt{3}}{13} \right)$
$\vdots$ 空集合
$4-2\sqrt{3}$ $\left( \dfrac{15+6\sqrt{3}}{13},\
\dfrac{-10-4\sqrt{3}}{13} \right)$
$\vdots$
$0$ $(x-3)^2+(y+2)^2-4=0$
$\vdots$
$-1$ 直線 $3x-2y-5=0$
$\vdots$
$-\infty$ $x^2+y^2-1=0$

このように媒介変数 $k$ の一次式で定まる曲線族を「束」と呼びます.問題は, この「束」を特徴づける幾何的な性質はどのようなことか,と言うことです.

拓生 私の質問とどのような関係があるのでしょうか.


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