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円の場合の一般的証明

南海  「ポンスレの閉形定理」に生かすために,この補題を次のようにいいかえよう.

円に内接する四辺形 $\mathrm{ABCD}$ の対辺 $\mathrm{AB},\ \mathrm{CD}$ が一つの円に接するとき, その接点 $\mathrm{P}_1,\ \mathrm{Q_1}$ を結ぶ直線が線分 $\mathrm{AC},\ \mathrm{BD}$ と交わる点を $\mathrm{P}_2,\ \mathrm{Q_2}$とすれば,この点で $\mathrm{AC},\ \mathrm{BD}$に接する円が存在し, かつこの円は他の二円と根軸を共有する.

$\mathrm{P}_2,\ \mathrm{Q_2}$ から $\mathrm{AC},\ \mathrm{BD}$に垂線を引きその交点を中心にして, $\mathrm{P}_2$をとおる円を描けばそれは$\mathrm{Q_2}$ も通り,題意をみたす.

これから次のポンスレの閉形定理が得られる.

定理 10 (ポンスレの定理)

    与えられた円 $O$ に内接する $n$ 角形 $\mathrm{A_1A_2\cdots A_n}$ がある. 辺 $\mathrm{A_1A_2},\ \cdots,\ \mathrm{A_{n-1}A_n}$ はそれぞれ円 $O$ と根軸共有な 定円に接している.

他の $n$ 角形 $\mathrm{B_1B_2\cdots B_n}$ も 辺 $\mathrm{B_1B_2},\ \cdots,\ \mathrm{B_{n-1}B_n}$ がそれぞれ同じ定円 に接している.

このとき残る辺 $\mathrm{A_nA_1}$と辺 $\mathrm{B_nB_1}$は円$O$と根軸共有な同一の 定円 $O_n$ に接している.

証明

$O$ に内接する四辺形 $\mathrm{A_1A_2B_1B_2}$ において辺 $\mathrm{A_1A_2}$と 辺 $\mathrm{B_1B_2}$は同一の定円 $O_1$ に接するから, $\mathrm{A_1B_1}$ , $\mathrm{A_2B_2}$$ O,\ O_1$と根軸を共有する一つの円 $C$ に接する.

同様に $\mathrm{A_2B_2}$ , $\mathrm{A_3B_3}$$ O,\ O_2$と根軸を共有する一つの円 Dに接する.

D $\mathrm{A_2B_2}$ に接し,しかも $O,\ O_2,\ O_3$ と根軸を共有する.

ゆえに $C=D$ である.

こうして辺 $\mathrm{A_1B_1},\ \mathrm{A_2B_2},\ \cdots,\ \mathrm{A_nB_n}$ は同じ円 C に接する.

四辺形 $\mathrm{A_1B_1A_nB_n}$ は円 $O$ に内接し,辺 $\mathrm{A_1B_1}$ と辺 $\mathrm{A_nB_n}$ は円 $O$ と根軸を共有する円 $C$ と接する.ゆえに $\mathrm{A_1A_n}$ $\mathrm{B_1B_n}$ も円 $O,\ C$ と根軸を共有する一定の円に接する.□


この定理の特別な場合として

定理 11 (二円の場合の閉形定理)

     一つの定円 $C_1$ に内接し,他の一つの定円 $C_2$ に外接する $n$ 角形 $\mathrm{A_1A_2\cdots A_n}$ がが一つ存在するとする. このとき$C_1$ 上の一点 $\mathrm{P_1}$ から $C_2$ にひとつの接線をひき, その延長が再び $C_1$ と交わる点を $\mathrm{P_2}$ とする. $\mathrm{P_2}$ から $C_2$ $\mathrm{P_1P_2}$ とは異なる接線をひき,その延長が再び $C_1$ と交わる点を $\mathrm{P_3}$ とする. 以下同様に,順次 $\mathrm{P_4},\ \cdots,\ \mathrm{P_{n+1}}$ を定めると, $\mathrm{P_{n+1}}=\mathrm{P_1}$ となる.

証明 これは $O_1=O_2=\cdots =O_{n-1}=O_n=C_2$としてポンスレの定理を用い, $\mathrm{P_nP_1}$$C_2$ に接するので, $\mathrm{P_{n+1}}=\mathrm{P_1}$ となりこれも $n$ 角形になる.□



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