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円錐曲線の座標表現

南海  さて,アポロニウスの定義から千数百年,デカルトによって座標の考え方が導かれた. アポロニウスの定義を座標で表現するとどのようになるか.

耕一  楕円でやってみます.

焦点をF(c,0),F'(-c,0)とし, $\mathrm{P}(x,\ y)$とします. 楕円の定義から

\begin{displaymath}
\sqrt{(x+c)^2+y^2}+\sqrt{(x-c)^2+y^2}=2a
\end{displaymath}

です.これから

\begin{displaymath}
\sqrt{(x-c)^2+y^2}=2a-\sqrt{(x+c)^2+y^2}
\end{displaymath}

として2回平方し整理すると

\begin{displaymath}
(a^2-c^2)x^2+a^2y^2=a^2(a^2-c^2)
\end{displaymath}

$a>c>0$なので $b=\sqrt{a^2-c^2}$とおくと

\begin{displaymath}
\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1
\end{displaymath}

となる.

南海  パッポスの定義との関連を見るために


\begin{displaymath}
\sqrt{(x+c)^2+y^2}+\sqrt{(x-c)^2+y^2}=2a
\end{displaymath} (2)

の両辺に

\begin{displaymath}
\sqrt{(x+c)^2+y^2}-\sqrt{(x-c)^2+y^2}
\end{displaymath}

を乗じてみてほしい.

ただしこれは, \begin{displaymath}
\sqrt{(x+c)^2+y^2}-\sqrt{(x-c)^2+y^2}
\end{displaymath} が正となるところにPがあるときだ.

耕一 

\begin{displaymath}
(x+c)^2+y^2-\{(x-c)^2+y^2\}=2a(\sqrt{(x+c)^2+y^2}-\sqrt{(x-c)^2+y^2})
\end{displaymath}

これから

\begin{displaymath}
\sqrt{(x+c)^2+y^2}-\sqrt{(x-c)^2+y^2}=\dfrac{2c}{a}x
\end{displaymath}

となりました.

南海  (2)と辺々引いて2で割ると

となる.


= PF

である.そこで直線$d$

\begin{displaymath}
x=\dfrac{a^2}{c}
\end{displaymath}

とし,点$\mathrm{P}$から直線$d$へ垂線$\mathrm{PH}$を引くと,

\begin{displaymath}
\mathrm{PH}=\dfrac{a^2}{c}-x
\end{displaymath}

である.

このとき

\begin{displaymath}
\dfrac{\mathrm{PF}}{\mathrm{PH}}=\dfrac{a-\dfrac{c}{a}x}{\dfrac{a^2}{c}-x}=\dfrac{c}{a}
\end{displaymath}

となり$\mathrm{P}$によらず一定である. この結果が(1)と一致している. $e=\dfrac{c}{a}$なので,準線は

\begin{displaymath}
x=\dfrac{a}{e}
\end{displaymath}

となる.

この式変形を逆にたどることで, パッポスによる定義で定まる曲線がアポロニウスの定義をみたすことが示され, 二つの定義が同等であることがわかる.

双曲線の場合,放物線の場合にもまったく同様な関係が成り立つ. これは演習問題としておこう.

演習 1  
双曲線と放物線の場合にも,アポロニウスの定義とパッポスの定義が同等であることを確認せよ.

南海  まとめると次のようになるはずだ.これを確認することを演習でやってほしい.

\begin{displaymath}
\begin{array}{\vert c\vert c\vert c\vert c\vert c\vert}
\h...
...
y^2=4ax&e=1&\mathrm{F}(a,\ 0)&d:x=-a\\
\hline
\end{array}\end{displaymath}



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