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包絡線としての円錐曲線

南海  楕円と双曲線を円と直線から構成するもう一つの方法がある. それが,包絡線による方法だ.

$xy$平面上の円$C$

\begin{displaymath}
x^2+y^2=a^2
\end{displaymath}

で定める. また,$x$軸上の点 $\mathrm{F}(c,\ 0)$がある. 図形は$y$軸で対称なので$c$は正とする.さらに$c\ne a$とする.

$\mathrm{F}$から円$C$に直線$\mathrm{FP}$を引き, その交点$\mathrm{P}$をとおり直線$\mathrm{FP}$と直交する直線を $l_{\mathrm{P}}$とする. $\mathrm{P}$が円$C$上を動くとき,直線 $l_{\mathrm{P}}$の通過する領域を求めてみよう.

耕一 $\mathrm{P}$ $\mathrm{P}(a\cos\theta,\ a\sin\theta)$とします.


\begin{displaymath}
\overrightarrow{\mathrm{FP}}=(a\cos\theta-c,\ a\sin\theta)
\end{displaymath}

です. 直線 $l_{\mathrm{P}}$は点$\mathrm{P}$を通り, 法線ベクトルが $\overrightarrow{\mathrm{FP}}$の直線ですから,その方程式は

\begin{displaymath}
(a\cos\theta-c)(x-a\cos\theta)+a\sin\theta(y-a\sin\theta)=0
\end{displaymath}

つまり直線 $l_{\mathrm{P}}$の方程式は
\begin{displaymath}
(a\cos\theta-c)x+(a\sin\theta)y=a^2-ac\cos\theta
\end{displaymath} (6)

となります.

$\theta$がすべての値をとるとき, 点$(x,\ y)$が直線 $l_{\mathrm{P}}$の通過する領域に存在することと, 方程式(6)をみたす$\theta$が存在することが同値です.

方程式(6)を$\theta$で整理すると

\begin{displaymath}
a(x+c)\cos\theta+ay\sin\theta=a^2+cx
\end{displaymath}

これを合成すると

\begin{displaymath}
a\sqrt{(x+c)^2+y^2}\sin(\theta+\alpha)=a^2+cx
\end{displaymath}

となります.

これをみたす$\theta$が存在する必要十分条件は

\begin{displaymath}
\left\vert\dfrac{a^2+cx}{a\sqrt{(x+c)^2+y^2}} \right\vert\le 1
\end{displaymath}

つまり

\begin{displaymath}
(a^2+cx)^2\le a^2\{(x+c)^2+y^2\}
\end{displaymath}

これを整理して

\begin{displaymath}
a^2(a^2-c^2)\le (a^2-c^2)x^2+a^2y^2
\end{displaymath}

です.

$a^2-c^2>0$つまり点$\mathrm{F}$が円$C$の内部にあれば

\begin{displaymath}
1\le\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{a^2-c^2}
\end{displaymath}

より楕円の外部.

$a^2-c^2<0$つまり点$\mathrm{F}$が円$C$の外部にあれば


より双曲線の原点のある側です.その境界を図示します.

南海  この通過領域の境界がいわゆる直線 $l_{\mathrm{P}}$包絡線だ.

包絡線は,方程式(6)を$\theta$で微分した式と式(6)を連立させて求めることもできる. それは演習問題としよう.

演習 6   直線 $l_{\mathrm{P}}$包絡線を, 『数学対話』ー「包絡線」にある一般的方法で求めよ.

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