next up previous
次: 外サイクロイドと内サイクロイド 上: 光線の包絡線 前: 問題の設定

光線の包絡線

南海  そこで,コップを原点を中心とする半径1の円としよう.
図のように,$x$軸に平行な光線が,点 $(\cos\theta,\ \sin\theta)$で 反射しているとしよう. 反射光の通過する直線の方程式はどのようになるか.

耕一  傾きは$\tan 2\theta$ですから

\begin{displaymath}
y=\tan 2\theta(x-\cos \theta)+\sin \theta
\end{displaymath}
です.分母を払って整理すると

\begin{displaymath}
(\sin 2\theta)x-(\cos 2\theta)y=\sin \theta\quad \cdots\maru{1}
\end{displaymath}
となります.これは $\cos 2\theta=0$のときも成立します.

ここからは包絡線の一般論ですね. 少し難しいです.

南海  まず,何らかの曲線が存在していることは事実である. われわれは,その曲線とこの光線が接していると考えているので, 接点を $(x(\theta),\ y(\theta))$とおこう. $(x(\theta),\ y(\theta))$の軌跡が,この曲線そのものだ.

耕一  曲線がどのような媒介変数表示になるかはわからないので, とりあえずそれを $(x(\theta),\ y(\theta))$とおいたのですね. するとこの点は光線上の点でもあるから方程式$\maru{1}$を満たし.

\begin{displaymath}
(\sin 2\theta)x(\theta)-(\cos 2\theta)y(\theta)=\sin \theta
\quad \cdots\maru{2}
\end{displaymath}

となる. 『数学対話』−「座標幾何のひろがり」−「包絡線」によれば これを$\theta$で微分するのですね. すると

\begin{displaymath}
2(\cos 2\theta)x(\theta)+(\sin 2\theta)x'(\theta)+
2(\sin 2\theta)y(\theta)-(\cos 2\theta)y'(\theta)=\cos \theta
\end{displaymath}

となります. ところがベクトル $(x'(\theta),\ y'(\theta))$は曲線の接線方向ですから, 接線の法線ベクトル

\begin{displaymath}
(\sin 2\theta,\ -\cos 2\theta)
\end{displaymath}

と直交しています,つまり

\begin{displaymath}
(\sin 2\theta)x'(\theta)-(\cos 2\theta)y'(\theta)=0
\end{displaymath}

です.これを微分した式に代入して両辺を2で割ると

\begin{displaymath}
(\cos 2\theta)x(\theta)+(\sin 2\theta)y(\theta)=\dfrac{1}{2}\cos \theta\quad \cdots\maru{3}
\end{displaymath}

となります. $\maru{2},\ \maru{3}$を連立して$x$$y$について解くと

\begin{eqnarray*}
x(\theta)&=&\dfrac{1}{2}\cos2\theta\cos\theta+\sin2\theta\sin\...
...theta)&=&\dfrac{1}{2}\sin2\theta\cos\theta-\cos2\theta\sin\theta
\end{eqnarray*}

です.

南海  もう一息,これを積和の公式で分けるとどうなるか.

耕一 

\begin{eqnarray*}
x(\theta)&=&\dfrac{1}{2}\cos2\theta\cos\theta+\sin2\theta\sin\...
...\sin\theta)\\
&=&\dfrac{3}{4}\sin\theta-\dfrac{1}{4}\sin3\theta
\end{eqnarray*}

これはどこかで見たことがあります.



Aozora Gakuen