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万有引力の法則

南海  ニュートンは運動の法則を発見するとともに, ケプラーの法則などをもとに万有引力の法則を導き出した.

このときニュートンは地球の軌道がほぼ円軌道であることを用いている. 円軌道であれば,面積速度一定というケプラーの法則は等速円運動を意味する. その半径を$r$,周期を$T$とすると位置ベクトル $\overrightarrow{r}$

\begin{displaymath}
\overrightarrow{r}=r(\cos \dfrac{2\pi}{T}t,\ \sin \dfrac{2\pi}{T}t)
\end{displaymath}

と時間の三角関数で表される.2回微分して加速度は

\begin{displaymath}
\dfrac{d^2}{dt^2}\overrightarrow{r}=r\left(\dfrac{2\pi}{T}\right)^2
(-\cos \dfrac{2\pi}{T}t,\ -\sin \dfrac{2\pi}{T}t)
\end{displaymath}

ケプラーの第3法則から $T^2\propto r^3$であるから中心に向かう加速度の大きさが $\dfrac{1}{r^2}$に比例することがわかる. つまり惑星が太陽に引かれる力が $\dfrac{1}{r^2}$に比例する.

ニュートンは,月をその軌道に保つのに必要な力と,地表面上の重力を比較してみた. その結果,きわめてよい近似で満足な結果が得られた.

世界のひとたちに,私がどのように見えるのか,私は知らない. しかし,私自身にとって,私は浜辺で遊ぶ少年のように思われる. 私は,時々なめらかな小石やふつうより美しい貝殻を見つけては喜んでいる. しかし,真理の大洋は,すべて未発見のまま私の前に横たわっている.
このニュートン有名な言葉は,このような世界の法則を確認した人ならではのものだ.

ケプラーの法則は,太陽と惑星の間だけでなく, 惑星と衛星(あるいは人工衛星)などの間でも成立する.

ここからさらにニュートンは ケプラーが太陽系の惑星の運動について述べたことは, 2つの任意の質点間に対しても同様に成り立つことを洞察した. これが万有引力の法則である.

これらはみなペストが流行した1665年と1666年の2年間のことである。

ニュートンは,天空と地上が同じ法則の下にあることを発見したのだ. 天と地という古来の二元論を事実において打ち破るものであった.



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