拓生 つまり素数は無数にあるということですね.
南海 2300年以上前になるわけだが,ユークリッドが背理法で素数が無数にあることを証明した.このユークリッドの 証明がそのまま入試問題になっている.『高校数学の方法』「論証の推進力-背理法」で紹介している. ぜひこれを見てほしい.
次には確かにいくらでも大きくなるのだが,しかしその大きさの程度はよりも
ずっと小さく
ひとつ記号を定める.は和の記号として知っている.積の記号をとする.例えば
この証明のために,『初等整数論』で既出の関係式であるが次の等式を補題としてあらかじめ 示しておこう.
を相異なる素数とする. 実数 を越えない自然数のなかで のいずれでも 割り切れないものの個数は次式で与えられる.
拓生 『初等整数論』を参考に数学的帰納法で示します.
証明 に関する数学的帰納法で証明する.
のときは
のなかで の倍数は
のときが成立するとする.
とし,さらに が追加されたとする. このときは,さらに の倍数 を除かなければならない.そのうち が で割り切れるものは すでに除かれているので,新たに除くべきものの個数は, を越えない整数のなかで で割り切れないものの個数である.ゆえに求める個数は
ゆえに のときも成立し,題意が示された.□
南海 微積から補題をもう一つ.
拓生 これはできます.
証明
関数は単調減少なので
南海 以上の準備をして定理7を証明しよう.
定理7の証明
ここで補題4より,のときの右辺は発散する.
もし が有限であれば,のときの左辺は 有限個の素数にわたる和となり収束する. これは矛盾なので が示された.
補題3の和の項数はである. なので,あわせて がなりたつ. したがって
ここでを
である最大のものにとる.このとき
のときである.したがって(1)で示したように