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ゼータ関数の値

南海   方程式$\maru{1}$の根を $\alpha,\ \beta,\ \gamma,\ \cdots$のように書くと

\begin{displaymath}
\alpha^2+\beta^2+\gamma^2+\cdots=(\alpha+\beta+\gamma+\cdots)^2-2(\alpha\beta+\alpha\gamma+\beta\gamma+\cdots)
\end{displaymath}

である.これを利用して,方程式$\maru{1}$$m$個の根の平方の和を求めよう.

\begin{eqnarray*}
&&\alpha+\beta+\gamma+\cdots=\dfrac{{}_{2m+1}\mathrm{C}_3}{{}_...
...hrm{C}_5}{{}_{2m+1}\mathrm{C}_1}
=\dfrac{m(m-1)(2m-1)(2m-3)}{30}
\end{eqnarray*}

である.したがって


つまり


ここで $1+\cot^2 x>\dfrac{1}{x^2}>\cot^2 x \ \left(0<x<\dfrac{\pi}{2} \right)$より

\begin{displaymath}
1+2\cot^2x+\cot^4x>\dfrac{1}{x^4}>\cot^4 x \ \left(0<x<\dfrac{\pi}{2} \right)
\end{displaymath}

である.すでに行った計算と同様に


よって


これから

\begin{displaymath}
\dfrac{\pi^4}{90}=1+\dfrac{1}{2^4}+\dfrac{1}{3^4}+\dfrac{1}{4^4}+\cdots
\end{displaymath}

を得る.

さて,数$s$に対して

\begin{displaymath}
\zeta(s)=1+\dfrac{1}{2^s}+\dfrac{1}{3^s}+\dfrac{1}{4^s}+\cdots
\end{displaymath}

を「ゼータ関数」という.実数$s$$s$$s>1$にあればこの級数は収束する. 逆に$s=1$のときに発散することは,


よりわかる.

ゼータ関数は今日もまだ未解決の問題を含む関数で,整数論できわめて重要であるばかりでなく, その他の分野でも頻繁に登場する.

オイラーの公式が重要なのはゼータ関数の特別な値になっているからである.

\begin{eqnarray*}
\zeta(2)&=&1+\dfrac{1}{2^2}+\dfrac{1}{3^2}+\dfrac{1}{4^2}+\cdo...
...c{1}{2^4}+\dfrac{1}{3^4}+\dfrac{1}{4^4}+\cdots=\dfrac{\pi^4}{90}
\end{eqnarray*}

同様に次のような公式も成り立つ.

\begin{eqnarray*}
\zeta(6)&=&1+\dfrac{1}{2^6}+\dfrac{1}{3^6}+\dfrac{1}{4^6}+\cdo...
...{3^{12}}+\dfrac{1}{4^{12}}+\cdots=\dfrac{691\pi^{12}}{638512875}
\end{eqnarray*}

※ 後に表した『数学対話』のなかの「ζ(2l)を関・ベルヌーイ数で表す」に一般形がある.


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