平面上の有界閉領域とは, 十分大きい円盤をかけばその中にが入り.の無限部分集合の集積点がすべてに 属することをいう.このとき
証明 を固定すればの関数になりを固定したときがの閉集合にあることは明らかである. したがってを固定するたびに最大値が存在する.これはの連続関数である.また, とおけばは実数の集合の中の閉集合である.したがっての関数としてのに最大値がある.が連続だから,先に y を固定して得られる最大値と等しく, これが.のにおける最大値である.
最小値についても同様である.□
以下複素数係数の多項式を,変数をで,係数をで表すことにする.
代数学の基本定理を三段階に分けて証明する.最初の二段階を補題として示す.
証明 は複素数平面全体で定義されたとの連続関数である.
そこで
これはの絶対値を十分大きくとれば,関数値の絶対値は定数項の絶対値より大きくできる ということで,それ自体当然のことである.
補題 2
は前補題のとする. 関数 の有界閉領域 における最小値は,関数の 全体における最小値である.
証明 が関数のにおける最小値とする.任意のについてなら. なら前補題から である.□
基本定理1の証明
関数のにおける最小値は定理2により存在する.その最小値をとする.このとき
として矛盾を示す.最小値を与えるをとする.つまり
なぜそれが可能か. の最大値をとし,とおくと
ここでによって複素数平面から複素数平面への関数を考える.
角が0からまで変化すると はの周りを回まわる.
はつねにをみたす領域内になければならない.ところが が図のようにをとおり円と垂直な直線上に来たとき,からは 内にはあり得ない.
これはがの最小値であることと矛盾する.
したがってとなり確かにとなるが存在する.□