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エジプト分数とは,有理数をいくつかの異なる単位分数(分子が 1 の分数)の和に表したものをいい,またその方式をいう.2006年の富山大学の入学試験に,1より小さい2個または3個からなるエジプト分数に関して,その最大値を求める次のような問題が出された.
次の問いに答よ.
- を,
を満たす任意の自然数とするとき,
の最大値がであることを証明せよ.
- を,
を満たす任意の自然数とするとき,
の最大値が
であることを証明せよ.
本問の最大値を与えるは,
,
で得られるものであり,これはよく知られたシルベスター数列の第1,第2,第3項である.この入試問題は,1をエジプト分数で下から近似するとき,最良の近似がシルベスター数列から得られると,一般化される.
本稿では,さらにそれを一般化して,単位分数をエジプト分数で下から近似するとき,その最良の近似は,拡張されたシルベスター数列から得られる,という定理を証明する.そこで用いられる補題は1変数の場合のムーアヘッドの不等式である.
Aozora
2013-09-03