次: 一般化定理の証明
上: 単位分数のエジプト分数による下からの近似
前: 一般化定理
次の補題はムーアヘッドの不等式の特別な場合である.
この証明は「対称式と不等式」(文献[3])に教えられたものである.
一般の場合のムーアヘッドの不等式については末尾の文献[2],[3],[4]を参照されたい.
補題 2
とする.
実数の列
と
は次の条件,
を満たす.このとき任意の非負実数
に対し,
不等式
が成立する.
となる
が存在すれば,等号は
のときのみ成立する.
□
証明
なら明らかなので,とする.
このときの命題をに関する数学的帰納法で示す.
のとき.なら
よりとなって等号で成立.
とする.このとき条件から
である.
と変形される.
よりかに応じて,
か
であるから
となり,のときにかぎり等号が成立する.よってのとき命題は成立する.
以下のとき,命題が成立するとする.
となるがあるとき.
を除く個ずつのも定理の条件をみたす.
よって数学的帰納法の仮定から,等号成立条件を含め不等式は成立する.
となるがないとき.,なので,
で
となるがある.ここで
を次のように定義する.
このようにすると
であり,さらに
が成立する.
ところがの列との列,の列との列にはそれぞれ等しい項がある.
よって,
なるがあるときと同様の理由で,数学的帰納法の仮定から
が成立する.これから等号成立条件を含めての場合も成立し,
すべてので補題が成立する.
(証明終わり)
Aozora
2013-09-03