故郷は事実である。宇治は私の故郷である。私にとって宇治はまず何より宇治川である。宇治川の流れは、琵琶湖とともに古い。はるか古代に人がこの日本列島に生活をはじめたとき、宇治川はすでにあの独特の川面の香りをただよわせて流れていた。宇治川べりに住んだことのあるものがまず思い出すのは、岸辺に立ったときの川面の香りである。あの香りは懐かしい。
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