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1. z9=-1 である.また $\bar{z}=\cos 20^{\circ} -i\sin 20^{\circ}=\dfrac{1}{z}$ である.
z9+1=(z3+1)(z6-z3+1) で $z^3 \ne -1$ なので

 

\begin{displaymath}z^6-z^3+1=0\quad \Rightarrow \quad z^3-1+\dfrac{1}{z^3}=0\qua...
...(z+\dfrac{1}{z} \right)^3-3 \left( z+\dfrac{1}{z} \right)-1=0
\end{displaymath}

 

つまり $\alpha$ $\alpha^3-3\alpha -1=0$ を満たすので

 

x3-3x -1=0

 

の解である.
2. f(x)=x3-3x -1 とおく. f'(x)=3x2-3 より f'(x)=0 の解は $x=\pm 1$

 

\begin{displaymath}f(1)\cdot f(-1)=(-3)(1)<0
\end{displaymath}

 

であるから, f(x)=0 は異なる3実数解を持つ.
有理数解 $x=\dfrac{p}{q}\ (p,\ q\ は互いに素な整数)$ を持つとする.

 

\begin{displaymath}\left(\dfrac{p}{q} \right)^3-3 \left(\dfrac{p}{q} \right) -1=0
\end{displaymath}

 

より

 

p3-3pq2-q3=0

 

これから

 

\begin{displaymath}p^3=3pq^2+q^3=q(3pq+q^2) \quad q^3=p(p^2-3pq)
\end{displaymath}

 

p,qは互いに素な整数なので p=q=1 .しかし x=1 は明らかに解でない.よって有理数の解はない.
3. $\alpha$ が2次方程式 $ax^2+bx+c=0\ (a,\ b,\ c 有理数)$ の解とする. $a\ne 0$ なので a で割ることにより $x^2+bx+c=0\ (b,\ c 有理数)$ の解とできる.

 

\begin{displaymath}\left\{
\begin{array}{l}
\alpha^3-3\alpha -1=0\\
\alpha^2+b\alpha +c=0
\end{array} \right.
\end{displaymath}

 

x3-3x-1=(x2+bx+c)(x-b)+(b2-c-3)x+bc-1

 

より

 

\begin{displaymath}(b^2-c-3)\alpha+bc-1=0
\end{displaymath}

 

つまり

 

\begin{displaymath}\alpha=\dfrac{bc-1}{b^2-c-3},\ またはb^2-c-3=0\ かつ\ bc-1=0
\end{displaymath}

 

第1の場合 $\alpha$ は有理数であり得ないことに反する.
第2の場合 $c=\dfrac{1}{b}$ より $b^2-\dfrac{1}{b}-3=0$ .つまり

 

b3-3b-1=0

 

b x3-3x -1=0 の解である.ところが x3-3x -1=0 は有理数の解を持ち得ないのであるから, b が有理数であることと矛盾した.
よって有理数を係数とする2次方程式で, $\alpha$ を解とするものは存在しないことが示された.