京都府医大2番 問題 解答 2001年入試に戻る
これは高校生諸君には難問である.特に受験技術的な勉強に終始していた人にはなかなか手が出なかっただろう.高校数学の水準からいえばずいぶん高い素養が必要だ. 逆に『数論入門』,『整数の基本』のようなところで本格的に勉強した人には,どこかで考えたことがあるように思われ,なんとか論述できたに違いない.論述の仕方そのものはいろいろあり得るので,工夫してほしい.
論証の根幹にあるのは次のことである.
整数からなる空でない集合Gが,x,y∈G のとき x-y∈G を満たすとする. このとき,正の整数 a で Gが a の倍数の全体に一致する ものがただ一つ存在する. |
この証明は『整数の基本』の定理6である.いちど自分で考えてからよく読んでおいてほしい.手短に述べると次のように示される.
G は 0=x-x∈G より 0 を含み, -x=0-x∈ G より x が要素なら
-x も要素である. x=aq+r ,0 ≦ r<a ここで aq=a(q-1)+a なので帰納的に aq ∈ G である. ∴ r=x-aq ∈ G したがって a が正で最小なので r=0 でなければならない. |
大学がこのような問題を受驗生要求すること自体は悪いことではない.問題はこれをどのように受けとめるかだ.