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東大理系後期総合II

(1)
ランダムウオークと呼ばれる確率過程を考えよう.1次元の数直線上を ランダムに移動する人を考える.時刻0において,数直線の原点に人がいるものとする. この人は時間ステップが1進むごとに+または−方向に1だけ移動するものとし, 同じ確率,すなわち $\dfrac{1}{2}$ の確率で+方向に, $\dfrac{1}{2}$ の確率で−方向に動くものとする.次の時間ステップでは,再び, $\dfrac{1}{2}$ ずつの確率で+または−方向を選んで移動し, これを繰り返すものとする.この過程において
(a)
時刻0から時間ステップが3進んだときに,この人が存在する可能性のある 場所とそこにいる確率を求めよ.
(b)
時刻0から時間ステップが6進んだときに,この人が原点にいる確率を求めよ.
(c)
時刻0から時間ステップが6進んだときに,スタートしてから初めてこの人が 原点に戻ってくる確率を求めよ,
(2)
ランダムウオークの応用として,ギャンブラ―の破産問題と呼ばれるものを考え る.あるギャンブラーの最初の所持金を2ドルとする.l回賭けを行うごとに,勝てば所 持金が1ドル増え,負ければ1ドル失うものとする.所持金がなくなればギャンブラーは 破産しそこで賭けは終わり、また、所持金が5ドルになれば賭けは終了とする. 1回の賭けで勝つ確率を $\dfrac{2}{3}$,負ける確率を $\dfrac{1}{3}$ としたとき, このギャンブラーが破産して終了する確率はいくらとなるかを考えてみよう.この問題 を数直線上で考えると,数直線上の位置2からスタートし,0と5の間で+方向ヘ移動する 確率が $\dfrac{2}{3}$,−方向へ移動する確率が $\dfrac{1}{3}$ のらランダムウォーク となる.0または5に達したときに賭けは終了する. さて,ランダムウオークでは,状態の変化は確率的に定まり,その確率は一定 ある.すなわち,ある状態にある場合、それ以降の過程は時刻や履歴にはよらず 確率的に定まる,したがって,ギャンブラ―の破産確率は,単にそのときの所持金の 額だけで決まる.これを $r(i)\ (i=0,\ 1,\ \cdots,\ ,5)$としよう.r(i)は 所持金が i であるときに,破産して終了する確率である.
(a)
r(2)を $r(1),\ r(3)$で表せ.
(b)
このような関係式を各状態について表し,それらを用いて最初の所持金が 2ドルのギャンブラーが破産して終了する確率を求めよ.


AozoraGakuen
2002-06-21