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大阪医科大5番解答

解法1

(1)  同じ番号の2組のカードを区別しない.このとき,取り出し方の総数 $ N_n $ は $ N_n=\dfrac{(2n)!}{2^n} $ である. このうち,確率を求める事象の余事象, つまり, $ a_i=b_i $ となる $ i\ (1\leqq i \leqq n) $ が存在する事象の総数を $ f(n) $ とおく.
$ a_i\ne b_i\ (1\leqq i \leqq n) $ となる確率を $ p_n $ とすると $ p_n=1-\dfrac{f(n)}{N_n} $ である.
$ n=2 $ のとき,余事象は $ a_i=b_i\ (1\leqq i \leqq 2) $ のときに限る. それはカードの数字が \[ (a_1,\ a_2,\ b_1,\ b_2)=(1,\ 2,\ 1,\ 2),(2,\ 1,\ 2,\ 1) \] となるときで, $ f(2)=2 $ である. $ N_2=6 $ なので, 確率 $ p_2 $ は \[ p_2=1-\dfrac{2}{6}=\dfrac{2}{3} \] である.

(2)  余事象は,つぎの2つの場合である.

(i) 1組 $ a_i=b_i $ となるものがあり,他の2組は $ a_i\ne b_i $ となる場合. この場合,どの数字で等しくなり $ i $ が1〜3のいずれであるかで $ {}_3\mathrm{C}_1\cdot{}_3\mathrm{P}_1 $ 通りあり,残る2組の配置は $ \dfrac{4!}{2\cdot 2}-f(2)=4 $ 通りある. \[ {}_3\mathrm{C}_1\cdot{}_3\mathrm{P}_1\cdot \{6-f(2)\}=36\ (通り) \]

(ii) 3組とも $ a_i=b_i $ となる場合. この場合は \[ 3!\ (通り) \]

  よって, \[ f(3)={}_3\mathrm{C}_1\cdot{}_3\mathrm{P}_1\cdot f(2)+3!=42 \] $ N_3=\dfrac{6!}{2^3}=90 $ より, \[ p_3=1-\dfrac{f(3)}{90}=\dfrac{8}{15} \]

(3)  余事象は,つぎの3つの場合である.

(i) 一組 $ a_i=b_i $ となるものが1組あり他の3組は $ a_i\ne b_i $ となる場合. この場合,どの数字で等しくなり, $ i $ が1〜4のいずれであるか, そして $ a_i=b_i $ となるカードの入れかえを考え \[ {}_4\mathrm{C}_1\cdot{}_4\mathrm{P}_1\cdot \{90-f(3)\}=16\cdot 48\ (通り) \]

(ii)  一組 $ a_i=b_i $ となるものが2組あり他の2組は $ a_i\ne b_i $ となる場合. この場合,どの数字で等しくなり,その2組の $ i $ が1〜4のいずれであるか, そして $ a_i=b_i $ のカード入れかえを考え \[ {}_4\mathrm{C}_2\cdot{}_4\mathrm{P}_2\cdot \{6-f(2)\}=72\cdot 4\ (通り) \]

(iii)  4組とも $ a_i=b_i $ となる場合. この場合は \[ 4!\ (通り) \]

よって \[ f(4)=16\cdot48+72\cdot 4+24=24(32+12+1)=24\cdot 45 \] $ N_4=\dfrac{8!}{2^4}=7\cdot6\cdot5\cdot4\cdot3 $ であるから, \[ p_4=1-\dfrac{24\cdot45}{7\cdot6\cdot5\cdot4\cdot3}=\dfrac{4}{7} \]

参考  一般の場合,ちょうど $ k $ 組が $ a_i=b_i $ となるのは, まず $ k $ 組を選び並べ,残りの $ n-k $ 組では $ a_i=b_i $ となる組が存在しないように並べるので, \[ {}_n\mathrm{C}_{k}\cdot {}_n\mathrm{P}_{k}\cdot\left\{N_{n-k}-f(n-k)\right\}\ (通り) \] である. $ N_1-f(1)=0 $ なので, \[ f(n)=\sum_{k=1}^{n-1}{}_n\mathrm{C}_k\cdot {}_n\mathrm{P}_k\cdot\left\{N_{n-k}-f(n-k)\right\} \] が成り立つ.

解法2  解法1では, $ f(n) $ を順次求めることで,大きな $ n $ に対しても $ p_n $ を求めることはできる. 次のように考えると, $ f(n) $ を順列組合せだけ用いて書き下すことができる. $ N_n=\dfrac{(2n)!}{2^n} $ は同様に用いる.

(1〜3)  $ a_i=b_i $ となる $ i $ が少なくとも1つ存在する取り出し方は \[ {}_n \mathrm{C}_1\cdot{}_n \mathrm{P}_1\cdot N_{n-1} (通り) \] ある.この中では, $ a_i=b_i $ となる $ i $ が少なくとも2つ存在する同じ取り出し方が2回数えられている. よってそれを1回引き, \[ {}_n \mathrm{C}_1\cdot {}_n \mathrm{P}_1\cdot N_{n-1}-{}_n \mathrm{C}_2\cdot{}_n \mathrm{P}_2\cdot N_{n-2} (通り) \] とする. $ a_i=b_i $ となる $ i $ が少なくとも3つ存在する取り出し方が \[ {}_3 \mathrm{C}_1-{}_3\mathrm{C}_2=0 \] となっている. \[ {}_n \mathrm{C}_1\cdot {}_n \mathrm{P}_1\cdot N_{n-1} -{}_n \mathrm{C}_2\cdot {}_n \mathrm{P}_2\cdot N_{n-2}  +{}_n \mathrm{C}_3\cdot {}_n \mathrm{P}_3\cdot N_{n-3} (通り) \] このなかで, $ a_i=b_i $ となる $ i $ が少なくとも4つ存在する取り出し方が \[ {}_4 \mathrm{C}_1-{}_4\mathrm{C}_2+{}_4\mathrm{C}_1=2 \] である. 以下, \[ 0=(1-1)^k=1+\sum_{j=1}^{k-1}{}_k \mathrm{C}j(-1)^j+(-1)^k \] より, \[ \sum_{j=1}^{k-1}{}_k \mathrm{C}_j(-1)^{j-1}=1+(-1)^k \] となるので,これをもとにし,参考と同様に $ N_0=1 $ とすれば, \begin{eqnarray*} f(n) &=&\sum_{k=1}^{n-1}(-1)^{k-1}{}_n \mathrm{C}_k\cdot {}_n \mathrm{P}_k\cdot N_{n-k}+(-1)^{n-1}n! N_0\\ &=&\sum_{k=1}^{n}(-1)^{k-1}{}_n \mathrm{C}_k\cdot {}_n \mathrm{P}_k\cdot N_{n-k} \end{eqnarray*} となる. \begin{eqnarray*} f(2)&=&{}_2 \mathrm{C}_1\cdot {}_2 \mathrm{P}_1\cdot N_{1}-{}_2 \mathrm{C}_2\cdot {}_2 \mathrm{P}_2\cdot N_{0} =4-2=2\\ f(3)&=&{}_3 \mathrm{C}_1\cdot {}_3 \mathrm{P}_1\cdot N_{2}-{}_3 \mathrm{C}_2\cdot {}_3 \mathrm{P}_2\cdot N_{1}+{}_3 \mathrm{C}_3\cdot {}_3 \mathrm{P}_3\cdot N_{0} =3\cdot 3\cdot 6-3\cdot 6\cdot 1+6=42\\ f(4)&=& {}_4 \mathrm{C}_1\cdot {}_4 \mathrm{P}_1\cdot N_{3}- {}_4 \mathrm{C}_2\cdot {}_4 \mathrm{P}_2\cdot N_{2}+ {}_4 \mathrm{C}_3\cdot {}_4 \mathrm{P}_3\cdot N_{1}- {}_4 \mathrm{C}_4\cdot {}_4 \mathrm{P}_4\cdot N_{0}\\ &=& 4\cdot 4\cdot 90-6\cdot 12\cdot 6+ 4\cdot 24\cdot 1-1\cdot 24 =1080 \end{eqnarray*} 以上から \begin{eqnarray*} p_2&=&1-\dfrac{f(2)}{N_2}=\dfrac{2}{3}\\ p_3&=&1-\dfrac{f(3)}{N_3}=\dfrac{8}{15}\\ p_4&=&1-\dfrac{f(4)}{N_4}=\dfrac{4}{7} \end{eqnarray*} となる.

問題
※ 出会いの確率,07年名古屋市大とはまた異なる設定である.しかしなかなか面白いので,いろいろ考えて見てほしい.