2017年入試問題研究に戻る東北大理系5番解答
(1) 条件式 $ (*) $ の両辺の共役をとる. \[ z\bar{z}+\bar{\alpha}\bar{z}+\bar{\beta}z+\bar{\gamma}=0 \] これを $ (*) $ から辺々引くことにより, \[ (\alpha-\bar{\beta})z-(\bar{\alpha}-\beta)\bar{z}+\gamma-\bar{\gamma}=0 \] となる.
(2) $ \gamma $ が実数なので $ \gamma-\bar{\gamma}=0 $ である.この結果, \[ (\alpha-\bar{\beta})z-(\bar{\alpha}-\beta)\bar{z}= (\alpha-\bar{\beta})z-\overline{(\alpha-\bar{\beta})z} =0 \] となり, $ (\alpha-\bar{\beta})z $ は実数である.
i) $ \alpha-\bar{\beta}=0 $ のとき.もとの方程式は, \[ z\bar{z}+\bar{\beta} z+\beta\bar{z}+\gamma=0 \] となる.これを変形して \[ \left|z+\beta \right|^2=\left|\beta \right|^2-\gamma>0 \] となる. $ -\beta $ を中心とする半径 $ \sqrt{\left|\beta \right|^2-\gamma} $ の円周上の $ z $ すべてがこれをみたし,解は無数にある.
ii) $ \alpha-\bar{\beta}\ne 0 $ のとき. $ (\alpha-\bar{\beta})z=X $ とおく. $ z=\dfrac{X}{\alpha-\bar{\beta}} $ , $ \bar{z}=\dfrac{X}{\bar{\alpha}-\beta} $ をもとの方程式に代入して, \[ \dfrac{1}{(\alpha-\bar{\beta})(\bar{\alpha}-\beta)}X^2 +\dfrac{\alpha}{\alpha-\bar{\beta}}X +\dfrac{\beta}{\bar{\alpha}-\beta}X+\gamma=0 \] となる実数 $ X $ の2次方程式となる. $ (\alpha-\bar{\beta})(\bar{\alpha}-\beta) $ を乗じて整理すると, \[ X^2-(|\alpha|^2-|\beta|^2)X+\gamma|\alpha-\bar{\beta}|^2=0 \] となる.さらに $ |\alpha|=|\beta| $ で $ \gamma $ が負の実数であるので, \[ X^2=-\gamma|\alpha-\bar{\beta}|^2>0 \] となり,これをみたす $ X $ はちょうど2個ある. よって, $ (*) $ を満たす $ z $ がちょうど2個あるための必要十分条件は $ \alpha-\bar{\beta}\ne 0 $ である.