2017年入試問題研究に戻る早稲田教育1番解答
(1) $\mathrm{P}(1,\ t)\ (0\leqq t \leqq 1)$とおく. OPの垂直二等分線上の点を$(X,\ Y)$とおくと, \[ X^2+Y^2=(X-1)^2+(Y-t)^2 \] より, \[ 2X+2tY-1-t^2=0 \] これが,線分OPの垂直2等分線の方程式である. 点$(X,\ Y)$が垂直2等分線が通る範囲にあるための必要十分条件は \[ \begin{array}{ll} tの2次方程式:t^2-2Yt-2X+1=0が0\leqq t \leqq1に解をもつ.&\cdots(1)\\ (X,\ Y)は正方形AOBCの辺および内部にある.&\cdots(2) \end{array} \] である.$f(t)=t^2-2Yt-2X+1$とおくと,$tu$平面上の放物線$u=f(t)$の 軸が$t=Y$で$f(t)$の判別式$D$が$D/4=Y^2+2X-1$なので, 条件$(1)$は,次のいずれかが成立することと同値である. ただし「,」は「かつ」を意味する. \[ \left\{ \begin{array}{l} f(0)\geqq0,\ f(1)\leqq0\\ f(0)\leqq0,\ f(1)\geqq0\\ f(0)\geqq0,\ f(1)\geqq0,\ 0\leqq Y\leqq 1,\ Y^2+2X-1\geqq0 \end{array} \right. \] つまり, \[ \left\{ \begin{array}{l} -2X+1\geqq0,\ 1-X-Y\leqq0\\ -2X+1\leqq0,\ 1-X-Y\geqq0\\ -2X+1\geqq0,\ 1-X-Y\geqq0,\ 0\leqq Y\leqq 1,\ Y^2+2X-1\geqq0 \end{array} \right. \] これと条件$(2)$の両方を満たす$(X,\ Y)$の存在する領域を$xy$平面に図示する.
その面積$S$は,正方形から放物線と正方形で囲まれる領域$A$と 台形$B$を除いた領域の面積である.よって \begin{eqnarray*} S&=&1-\int_0^1\left(-\dfrac{1}{2}y^2+\dfrac{1}{2} \right)\,dy-\dfrac{1}{2^2}\left(1+\dfrac{1}{2} \right)\\ &=&1-\biggl[-\dfrac{1}{6}y^3+\dfrac{1}{2}y\biggr]_0^1-\dfrac{3}{8}=\dfrac{7}{24} \end{eqnarray*}(2) 1から$n+1$までの自然数の順列で条件を満たすものを考える. その順列から$n+1$を除いた,1から$n$までの順列は次のいずれかである.
(i) 1から$n$までの順列はすべて$a_k< a_{k+1}$を満たしている. この場合は,1から$n$まで順に並んでいるなかに$n+1$を戻す方法だけあり, その位置は,右端を除く1から$n$までの数の間であり,$n$通りある.(i),(ii)は排反であるから$P_{n+1}$と$P_n$の関係式は次のようになる. \[ P_{n+1}=2P_n+n \]
(ii) 1から$n$までの順列が条件を満たしている. $n+1$を戻す位置は,右端か,または$a_k>a_{k+1}$なっている間である. つまり$a_k< n+1 >a_{k+1}$である.よってこれらは$2P_n$通りある.
(3) $\theta=\dfrac{\pi}{7}$とし, $\alpha=\cos\theta+i\sin\theta$とおく.$\alpha^7=-1$,つまり $\alpha$は \[ \alpha^7+1=(\alpha+1)(\alpha^6-\alpha^5+\alpha^4-\alpha^3+\alpha^2-\alpha^1+1)=0 \] を満たす.$\alpha+1\ne 0$であるから \[ \alpha^6-\alpha^5+\alpha^4-\alpha^3+\alpha^2-\alpha^1+1=0 \] である.これに$\alpha^{-3}$をかけ同値変形すると, \begin{eqnarray*} &&\alpha^3-\alpha^2+\alpha^1-1+\alpha^{-1}-\alpha^{-2}+\alpha^{-3}=0\\ &\iff&(\alpha+\alpha^{-1})^3-3(\alpha+\alpha^{-1})-(\alpha+\alpha^{-1})^2+2+(\alpha+\alpha^{-1})-1=0 \end{eqnarray*} ここで$\alpha+\alpha^{-1}=2\cos\theta$なので,これを代入して, \begin{eqnarray*} &&(2\cos\theta)^3-3(2\cos\theta)-(2\cos\theta)^2+2+(2\cos\theta)-1=0\\ &\iff&8\cos^3\theta-4\cos^2\theta-4\cos\theta+1=0 \end{eqnarray*} となる.よって求める$f(x)$は次式である. \[ f(x)=8x^3-4x^2-4x+1 \]
(4) $x=0$を代入して$f(0)+f(0)=0$より $f(0)=0$である. $k$を0以上の整数として,関係式の$x$に$c^kx$を代入すると \[ f(c^kx)+f(c^{k+1}x)=c^{2k}x^2 \] が成り立つ.これから \[ (-1)^kf(c^kx)-(-1)^{k+1}f(c^{k+1}x)=(-c^2)^{k}x^2 \] $k$についての和をとる. \[ \sum_{k=0}^{n-1}\left\{(-1)^kf(c^kx)-(-1)^{k+1}f(c^{k+1}x)\right\} =\sum_{k=0}^{n-1}(-c^2)^{k}x^2 \] つまり \[ f(x)-(-1)^{n}f(c^nx)=\dfrac{1-(-c^2)^n}{1+c^2}x^2 \] がすべての自然数$n$で成りたつ. $f(x)$は連続で,$|c|< 1$なので, \[ \lim_{n \to \infty}\left|(-1)^{n}f(c^nx) \right|= \left|f\left(\lim_{n \to \infty}c^nx\right) \right|=|f(0)|=0 \] であるから, \begin{eqnarray*} &&\lim_{n \to \infty}\left\{f(x)-(-1)^{n}f(c^nx)\right\} =f(x)-\lim_{n \to \infty}\left\{(-1)^{n}f(c^nx)\right\}=f(x)\\ &&\lim_{n \to \infty}\dfrac{1-(-c^2)^n}{1+c^2}x^2= \dfrac{1}{1+c^2}x^2 \end{eqnarray*} となる.よって \[ f(x)=\dfrac{1}{1+c^2}x^2 \] である.