2019年入試問題研究に戻る

京大特色4番解答

(1) 条件(D)は \[ k\leqq \dfrac{n}{m}< k+1 \] となる.実数 $ x $ に対して $ x $ を超えない最大の整数を $ [x] $ と表すと,この条件は \[ k=\left[\dfrac{n}{m}\right] \] である.したがって, $ T_n $ ,つまりある $ m $ が存在してこのように表される $ k $ の個数は, 自然数 $ m $ に対して, $ 0\leqq \left[\dfrac{n}{m}\right]< n $ の範囲で $ \left[\dfrac{n}{m}\right] $ がとりうる値の個数である. $ m=1 $ のときは $ \left[\dfrac{n}{m}\right]=n $ で条件を満たさない. $ m>n $ ならすべて0である.したがって $ 2\leqq m \leqq n+1 $ の範囲で調べればよい.
$ n=50 $ のとき,この範囲の $ m $ を順に代入すると,とる値は, \[ 25,\ 16,\ 12,\ 10,\ 8,\ 7,\ 6,\ 5,\ 4,\ 3,\ 2,\ 1,\ 0 \] の13個である. $ T_{50}=13 $ .

(2)  \[ \dfrac{n}{m}-\dfrac{n}{m+1}\leqq 1 \] とする.これより \[ n\leqq m(m+1) \] つまり, $ m $ が \[ \dfrac{-1+\sqrt{1+4n}}{2}\leqq m \] を動くとき, $ \left[\dfrac{n}{m}\right] $ の値は2以上離れることはない. $ \alpha=\dfrac{-1+\sqrt{1+4n}}{2} $ とおく. この範囲から定まる $ \left[\dfrac{n}{m}\right] $ の値は \[ \left[\dfrac{n}{[\alpha]+1}\right],\ \cdots,\ 0 \] なので, $ k $ の個数は \[ \left[\dfrac{n}{[\alpha]+1}\right]+1 \] である. 逆に, $ m $ が \[ \dfrac{n}{m}-\dfrac{n}{m+1}> 1 \] の範囲を動くとき, $ \left[\dfrac{n}{m}\right] $ に同じ値はない. したがって,この範囲から定まる $ k $ の個数は,この範囲の $ m $ の個数だけあり, 2からはじまるので, \[ [\alpha]-1 \] である. よって, $ T_n $ は \[ T_n=[\alpha]+\left[\dfrac{n}{[\alpha]+1}\right] \] と表される.簡単のため, 定数 $ a=\dfrac{1}{4} $ と $ b=-\dfrac{1}{2} $ を用いて $ \alpha=\sqrt{n+a}+b $ と表す. \[ \sqrt{n+a}+b-1< [\alpha]\leqq \sqrt{n+a}+b \] なので, \[ \sqrt{n+a}+b-1+\dfrac{n}{\sqrt{n+a}+b+1}-1< T_n< \sqrt{n+a}+b+\dfrac{n}{\sqrt{n+a}+b} \] つまり \[ \sqrt{n} \left( \sqrt{1+\frac{a}{n}}+\frac{b-1}{\sqrt{n}}+\frac{1}{\sqrt{1+\frac{a}{n}}+\frac{b+1}{\sqrt{n}}}-\frac{1}{\sqrt{n}} \right) < T_n< \sqrt{n} \left( \sqrt{1+\frac{a}{n}}+\frac{b}{\sqrt{n}}+\frac{1}{\sqrt{1+\frac{a}{n}}+\frac{b}{\sqrt{n}}} \right) \] $ n\to \infty $ のとき,かっこ内はいずれも2に収束する. よって, \[ \lim_{n\to \infty}\dfrac{\log T_n}{\log n}=\lim_{n\to \infty}\dfrac{\log \sqrt{n}}{\log n}=\dfrac{1}{2} \]

問題