2020年入試問題研究に戻る和歌山医大第4番解答
(1) 自然数は2から30までにある3の倍数は
$ k=1 $ のとき, $ 3\cdot 1,\ 3\cdot 2,\ \cdots,\ 3\cdot 10 $ の10個.
$ k=2 $ のとき, $ 3^2\cdot 1,\ 3^2\cdot 2,\ 3^2\cdot 3 $ の3個.
$ k=3 $ のとき, $ 3^3\cdot 1 $ の1個.
$ k >3 $ のときは,0個.(2) 自然数は2から30までにある3の倍数はの10個. 自然数は2から30までにある $ 3^2 $ の倍数はの3個. 自然数は2から30までにある $ 3^3 $ の倍数はの1個.
3の倍数で $ 3^2 $ の倍数でないものは $ 10-3 $ 個. $ 3^2 $ の倍数で $ 3^3 $ の倍数でないものは $ 3-1 $ 個.
よって, $ 30! $ 内の素因子3の個数は, \[ 1(10-3)+2(3-1)+3\cdot1=10+3+1=14 \] 自然数は2から30までにある2の倍数はの15個. 自然数は2から30までにある $ 2^2 $ の倍数はの7個. 自然数は2から30までにある $ 2^3 $ の倍数はの3個. 自然数は2から30までにある $ 2^4 $ の倍数はの1個. 同様に $ 30! $ 内の素因子3の個数は26個.
よって, \[ 30!=2^{26}3^{14}\cdot l'=6^{14}\cdot l \] $ d=14 $ である.(3) $ e $ は $ p^n! $ の因数分解における素因数 $ p $ の個数である.
$ k $ を $ 1\leqq k \leqq n-1 $ の範囲の自然数とする. $ p^n $ 個の自然数 $ 1,\ 2,\ \cdots,\ p^n $ の中に $ p^k $ の倍数は \[ p^k\cdot 1,\ p^k\cdot 2,\ \cdots,\ p^k\cdot p^{n-k} \] の $ p^{n-k} $ 個ある.
従って $ p^k $ の倍数であるが $ p^{k+1} $ の倍数ではない, つまり因数の中に素因数 $ p $ がちょうど $ k $ 個あるものは $ p^{n-k}-p^{n-k-1} $ 個ある. また素因数 $ p $ がちょうど $ n $ 個あるものは1個である.
$ p^n! $ は $ 1,\ 2,\ \cdots,\ p^n $ の積なので $ e $ は次式で与えられる. \begin{eqnarray*} e &=&\sum_{k=1}^{n-1}k\left(p^{n-k}-p^{n-k-1} \right)+n =\sum_{k=1}^{n-1}kp^{n-k}-\sum_{k=1}^{n-1}kp^{n-k-1}+n\\ &=&\sum_{k=1}^{n-1}kp^{n-k}-\sum_{k=2}^n(k-1)p^{n-k}+n =p^{n-1}+\sum_{k=2}^{n-1}p^{n-k}-(n-1)+n\\ &=&p^{n-1}+p^{n-2}+\cdots+1=\dfrac{p^n-1}{p-1} \end{eqnarray*}(4) $ d(n) $ は(2)と同様に考え $ 30^n !$ にある素因数3の個数である. 1から $ 30^n $ のうちに, 3の倍数は $ 3,\ 6,\ \cdots,\ 3\cdot 3^{n-1}\cdot 10^n $ より $ 3^{n-1}\cdot 10^n $ 個ある. $ 3^2 $ は $ 3^{n-3}\cdot 10^n $ 個ある. 以下同様に考え, $ 3^n $ は $ 10^n $ 個ある. よって, \[ d(n)=10^n\left(3^{n-1}+3^{n-2}+\cdots+1 \right)=\dfrac{(3^n-1)10^n}{2} \] 同様に, \[ e(n)=6^n\left(5^{n-1}+5^{n-2}+\cdots+1 \right)=\dfrac{(5^n-1)6^n}{4} \] よって \[ \lim_{n \to \infty}\dfrac{d(n)}{e(n)}= \lim_{n \to \infty}\dfrac{4(3^n-1)10^n}{2(5^n-1)6^n}= 2\cdot \lim_{n \to \infty}\dfrac{1-\dfrac{1}{3^n}}{1-\dfrac{1}{5^n}}=2 \]
※(3)は2009年京大文系5番と同じ.