next up previous 次: 83年 上: 解答 前: 70年

77年

解1
  1. 図のように $\mathrm{PA}=\mathrm{PB}$となる点$\mathrm{P}$をとり, 点$\mathrm{P}$を通って$\mathrm{AB}$に平行な直線$l$を引く. $\mathrm{AP}=\mathrm{PB}=\dfrac{m}{2}$である.
     
    $\mathrm{AQ}+\mathrm{QB}=m$となる点$\mathrm{Q}$で点$\mathrm{P}$とことなる点をとる.

    $\mathrm{B}$$l$に関する対称点を$\mathrm{B'}$とする. このとき

    \begin{eqnarray*}
\mathrm{AQ}+\mathrm{QB'}&>&\mathrm{AP}+\mathrm{PB'}\\
&=&m=\mathrm{AQ}+\mathrm{QB}
\end{eqnarray*}

    \begin{displaymath}
∴\quad \mathrm{QB'}>\mathrm{QB}
\end{displaymath}

    これは点$\mathrm{Q}$が,$l$に関して直線$\mathrm{AB}$と同じ側にあることを意味している. よって 点$\mathrm{Q}$と直線$\mathrm{AB}$の距離は, 点$\mathrm{P}$と直線$\mathrm{AB}$の距離より小さい.

    \begin{displaymath}
∴\quad \bigtriangleup \mathrm{ABP}>\bigtriangleup \mathrm{ABQ}
\end{displaymath}

    底辺の長さ $a$ が一定で, 他の2辺の和 $m$ も一定($m>a$)であるような三角形のうち, 面積最大のものは,二等辺三角形であることが示された.
  2. 四角形$\mathrm{ABCD}$で,3点 $\mathrm{A,\ B,\ C}$を固定し, $\mathrm{CD}+\mathrm{DA}$の和を変えないように点$\mathrm{D}$を動かす. すると(1)から $\mathrm{CD}=\mathrm{DA}$のとき $\bigtriangleup \mathrm{ACD}$の 面積が最大である.

    これが他の3組の隣りあう辺どうしについてもいえる. よって面積最大の四角形$\mathrm{ABCD}$では4辺の長さはすべて等しい. 四角形$\mathrm{ABCD}$は菱形であり,隣りあう2辺のなす角の一つを$\theta$とすると, 四角形$\mathrm{ABCD}$の面積は $\mathrm{AB}^2\sin \theta$である.

    これが最大になるのは角 $\theta=90^{\circ}$のときである. つまり周囲の長さが一定な四辺形のうち, 面積最大のものは正方形であることが示された.


解2

図のように底辺の両端を $\mathrm{A}\left(-\dfrac{a}{2},\ 0 \right)$ $\mathrm{B}\left(\dfrac{a}{2},\ 0 \right)$とおく. また.他の頂点を $\mathrm{P}(x,\ y)$とする.

 
このとき $\mathrm{PA}+\mathrm{PB}=m$から

\begin{displaymath}
\sqrt{\left(x+\dfrac{a}{2} \right)^2+y^2}+
\sqrt{\left(x-\dfrac{a}{2} \right)^2+y^2}=m
\end{displaymath}

である.これから,

\begin{displaymath}
\left(x+\dfrac{a}{2} \right)^2+y^2+
2\sqrt{\left(x+\dfrac{a}...
...c{a}{2} \right)^2+y^2}+
\left(x-\dfrac{a}{2} \right)^2+y^2=m^2
\end{displaymath}

を得る.これを整理して

\begin{displaymath}
\sqrt{\left(x^2+y^2+\dfrac{a^2}{4} \right)^2-a^2x^2}
=\dfrac{m^2}{2}-\left(x^2+y^2+\dfrac{a^2}{4} \right)
\end{displaymath}

再び両辺平方して

\begin{displaymath}
\left(x^2+y^2+\dfrac{a^2}{4} \right)^2-a^2x^2
=\dfrac{m^4}{4...
...frac{a^2}{4} \right)m^2+\left(x^2+y^2+\dfrac{a^2}{4} \right)^2
\end{displaymath}

これから

\begin{displaymath}
\dfrac{4x^2}{m^2}+\dfrac{4y^2}{m^2-a^2}=1\quad \cdots\maru{1}
\end{displaymath}

を得る.

\begin{displaymath}
\bigtriangleup \mathrm{PAB}=\dfrac{a\vert y\vert}{2}
\end{displaymath}

である. したがって $\bigtriangleup \mathrm{PAB}$の面積が最大になるのは$y$の絶対値が最大のときである.

$\maru{1}$から,$y^2$が最大になるのは$x=0$のときである. このとき

\begin{displaymath}
\mathrm{PA}=\mathrm{PB}
\end{displaymath}

つまり $\bigtriangleup \mathrm{PAB}$は二等辺三角形である.

Aozora Gakuen