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条件付確率の定義

確率空間$(U,\ p)$と2つの事象$A$$B$があるとする. 実数$p_A(B)$

\begin{displaymath}
p_A(B)=\dfrac{p(A\cap B)}{p(A)}
\end{displaymath}

で定める.定義から,$p_A(A)=1$である.

これを,事象$A$が起こったという条件のもとで$B$が起こる確率という意味で, 条件付き確率という.

条件付き確率 $ p_A $ は,集合 $ U $ を標本空間とする確率になっている. つまり, $ (U, p_A) $ が集合 $ U $ を標本空間とする新たな確率空間となる.

それを確認する. 確率の定義の条件をみたせばよい.

  • $p_A(B)=\dfrac{p(A\cap B)}{p(A)}\ge 0$
  • $ p_A(U)=\dfrac{p(U\cap A)}{p(A)}=\dfrac{p(A)}{p(A)}=1 $
  • $ B\cap C=\emptyset $ のとき, $ (B\cup C)\cap A=(B\cap A)\cup (C\cap A) $ で $ (B\cap A)\cap (C\cap A)=\emptyset $ なので, \begin{eqnarray*} p_A(B\cup C)&=&\dfrac{p((B\cup C)\cap A)}{p(A)}=\dfrac{p((B\cap A)\cup (C\cap A))}{p(A)}\\ &=&\dfrac{p(B\cap A)+p(C\cap A)}{p(A)}=p_A(B)+p_A(C) \end{eqnarray*}

  • $ p_A(A)=\dfrac{p(A\cap A)}{p(A)}=\dfrac{p(A)}{p(A)}=1 $ であるから, 確率空間 $ (U, p_A) $ はまた, $ A $ を標本空間とする確率空間 $ (A, p_A) $ ともみなすことができる.

    なお,根元事象が同様に確からしく,集合の要素の個数で確率が決まるときは, \[ p_A(B)=\dfrac{p(A\cap B)}{p(A)} =\dfrac{\dfrac{n(A\cap B)}{n(U)}}{\dfrac{n(A)}{n(U)}} =\dfrac{n(A\cap B)}{n(A)} \] である.

    確認問題 1       解答1

    白玉5個と赤玉3個が入っている袋から,1個ずつ順に3個の球を取りだした. 1番目の玉が赤であるとき,3番目の玉が白である確率を求めよ.

    問題 2       [2002年センター試験追試数学U・B改題]    解答2

    5枚の赤いカードに,2,3,4,5,6という数がそれぞれ一つずつ書いてあり,5枚の青いカードにも,7,8,9,10,11という数がそれぞれ一つずつ書いてある.赤いカードのうちから1枚,青いカードのうちから1枚引いて,書かれてある数をそれぞれ $X,\ Y$ として確率変数 $X,\ Y$ を定め,$Z=2X+Y$ として確率変数 $Z$ を定める.

    1. $X$$Z$が素数になる確率を求めよ.
    2. $Z$ が素数になるという条件のもとで, $X$ が素数になる条件つき確率と,$Y$が素数になる条件つき確率を求めよ.
    3. $X$ が素数になるという事象と $Z$ が素数になるという事象, および, $Y$ が素数になるという事象と $Z$ が素数になるという事象は, それぞれ独立か独立でないか,理由をつけて答えよ.
    4. $X$$Z$の平均(期待値)を求めよ.

    問題 3       [2004 センター試験・本試験,数学U・B改題]    解答3

    二つのさいころAとBがあり,各面に $1,\ 2,\ 3,\ 4,\ 5,\ 6$ という目が書かれている. これらのさいころについて,Aのさいころの各面には $1,\ 3,\ 4,\ 5,\ 6,\ 8$ のシールを貼り, Bのさいころの各面には $1,\ 2,\ 2,\ 3,\ 3,\ 4$ の目のシールを貼った.
    はじめに硬貨を投げ,次にAとBのさいころを同時に投げる次の試行を行う.

    この試行について次の問いに答えよ.ただし,シールの有無にかかわらず, さいころの各面の出方は同様に確からしいとする.
    1. 目の和が3の倍数であるという条件のもとで,二つのさいころの目の差が2以下である条件つき確率求めよ.
    2. この試行における二つのさいころの目の和を表す確率変数を $X$ とする. 硬貨を投げて表が出たとき,同時に投げた二つのさいころの目の和の期待値, およびこの試行における $X$ の期待値を求めよ.

    問題 4       [03千葉大]    解答4

    $k$を整数とし$q$を実数とする.A,Bの2人が次のようなゲームを行う. まずAが3枚の硬貨を投げ,表の出た枚数を$X$とする.$X>k$ならAの勝ち,$X<k$ならBの勝ちとする. $X=k$のときは当たる確率が$q$のくじをAが引き,当たればAの勝ち,そうでなければBの勝ちとする. A,Bとも,勝った場合には$X+1$円の賞金がもらえ,負けた場合には何ももらえない(0円もらう)とする. ここで$k$および$q$の値は,AとBのもらう賞金の期待値が等しくなるように定める.

    1. $k$$q$の値を求めよ.
    2. 上のゲームを2回行ったとき,Bの賞金総額が3円であった. このとき,Aの賞金総額も3円である条件付き確率を求めよ.


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    Aozora 2017-09-13