next up previous
次: 二項分布 上: 確率分布と期待値 前: 和の期待値

確率変数の独立と積の期待値

確率変数$X,\ Y$が互いに独立であるとは,$X$のとる任意の値$a$$Y$のとる任意の値$b$について

\begin{displaymath}
P(X=a,\ Y=b)=P(X=a)P(Y=b)
\end{displaymath}

が成り立つことを言う.

確率変数$X$$Y$が互いに独立であるときは,確率変数$XY$の期待値は


が成り立つ.

史織 

\begin{eqnarray*}
E(XY)&=&\sum_{i=1}^n \sum_{j=1}^m (x_iy_j)P(X=x_i,\ Y=y_j)\\
...
...i)\right\}\left\{\sum_{j=1}^m y_jP(Y=y_j)\right\}\\
&=&E(X)E(Y)
\end{eqnarray*}

積についても, 期待値は根元事象の全体にわたる和であるという観点から $E(XY)=E(X)E(Y)$を示せませんか.

南海  それは無理だ.どうしてかというと,事象の独立性が基本なのだが,根元事象は互いに独立ではないので, 根元事象に帰着させることは出来ない.

ここで確率変数の独立性を問う過去問題を紹介しよう.

演習 19       [90京大前期理系]解答19

$N$角形の頂点に $0,\ 1,\ \cdots,\ N-1$と時計回りに番号がつけてある.頂点0を出発点とし, サイコロを投げて出た目の数だけ頂点を時計まわりに移動し,着いた頂点の番号を$X$とする. 次にもう一度サイコロを投げて出た目の数だけ,頂点$X$から時計まわりに移動し,着いた頂点の番号を$Y$とする. このようにして定めた確率変数$X,\ Y$について

  1. $N=5,\ 6$のそれぞれの場合について,$X$$Y$は互いに独立か.
  2. $X$$Y$が互いに独立となる$N\ (N\ge 3)$をすべて求めよ.

ただし,確率変数$X,\ Y$が互いに独立であるとは, $X=i$となる確率$P(X=i)$と, $X=i,\ Y=j$となる確率$P(X=i,\ Y=j)$との間に,次の等式が任意の $i,\ j\ (0\le i,\ j\le N-1)$について 成り立つことである.

\begin{displaymath}
(*)\quad P(X=i,\ Y=j)=P(X=i)P(Y=j)
\end{displaymath}



Aozora Gakuen