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条件の否定,論理和,論理積

史織  命題にこのように否定,論理和,論理積があるのなら,それに対して命題関数,つまり 条件にも否定,論理和,論理積があるのですね.

南海  その通り.上の命題の主題部分を変数に変えればよい.

  1. $p(x)\ :\ x$ は4の倍数である.
  2. $q(x)\ :\ x$ は平方数である.
  3. $r(x)\ :\ x$ は奇数である.
  4. $s(y)\ :\ y$ は奇数である.
  5. $t(y)\ :\ y$ は平方数である.
これらに対して
  1. $x$は4の倍数でない.
  2. $x$は4の倍数または奇数である.
  3. $x$は4の倍数かつ奇数である.
  4. $x$は4の倍数または平方数である.
  5. $x$は4の倍数かつ平方数である.
  6. $x$は4の倍数または$y$は奇数である.
  7. $x$は4の倍数かつ$y$は奇数である.
  8. $x$は4の倍数または$y$は平方数である.
  9. $x$は4の倍数かつ$y$は平方数である.
が作れる.記号で書くと
  1. $\overline{p(x)}$
  2. $p(x)\vee r(x)$
  3. $p(x)\wedge r(x)$
  4. $p(x)\vee q(x)$
  5. $p(x)\wedge q(x)$
  6. $p(x)\vee s(y)$
  7. $p(x)\wedge s(y)$
  8. $p(x)\vee t(y)$
  9. $p(x)\wedge t(y)$
となる.

史織  条件から新たな条件を作る操作も,もとは命題の変形から来ているのですね.

南海  この順に考えるのがはっきりすると思う.

史織  変数が $x$$y$ のときの定義域はどうなるのですか.

南海  これは例えば $xy$ 平面上の点全体を定義域とすればよい.すると 「$x$は4の倍数」という 条件は, $x$ 座標が4の倍数ということであり, 「$y$は平方数である」という 条件は, $y$ 座標が平方数ということになる.

史織  そうすると「かつ」や「または」の意味もわかりました.

南海  さて,ここで条件の否定,論理和,論理積に対してその真理集合がどうなるかを確認しておこう.

ただし集合 $A,\ B$ に対して $\overline{A}$ は補集合, $A\cup B$ は和集合, $A\cap B$ は共通部分(積集合ともいう)を表すことは,知っているとする.

史織  条件 $p$ の否定の真理集合は

\begin{displaymath}
T_{\overline{p}}=\{\ x\ \vert\ p(x) が真でない\ \}
\end{displaymath}

ですから, $\overline{T_p}$ です.つまり

\begin{displaymath}
T_{\overline{p}}=\overline{T_p}
\end{displaymath}

です.

また,条件 $p$$q$ の論理和 $p\vee q$ の真理集合は

\begin{displaymath}
T_{p\vee q}=\{\ x\ \vert\ p(x) が真または q(x) が真\ \}
\end{displaymath}

ですから, $T_p\cup T_q$ です.つまり

\begin{displaymath}
T_{p\vee q}=T_p\cup T_q
\end{displaymath}

です.

同様に, 条件 $p$$q$ の論理積 $p\wedge q$ の真理集合は

\begin{displaymath}
T_{p\wedge q}=\{\ x\ \vert\ p(x) が真かつ q(x) が真\ \}
\end{displaymath}

ですから, $T_p\cap T_q$ です.つまり

\begin{displaymath}
T_{p\wedge q}=T_p\cap T_q
\end{displaymath}

です.

南海  条件の「否定」「論理和」「論理積」のそれぞれの操作に対して,それぞれ 真理集合の「補集合」「和集合」「積集合」が対応する.

史織  集合では.ド・モルガンの法則というのを習いました.二つの集合 $A,\ B$ に対して

\begin{displaymath}
\overline{A\cap B}=\overline{A}\cup \overline{B},\
\overline{A\cup B}=\overline{A}\cap \overline{B}
\end{displaymath}

を習いました.これに対応して二つの命題 $p,\ q$ に対して

\begin{displaymath}
\overline{p\wedge q}=\overline{p}\vee \overline{q},\
\overline{p\vee q}=\overline{p}\wedge \overline{q}
\end{displaymath}

が成り立つのですね.

これは例えば第一式は

\begin{displaymath}
条件「 p かつ q 」の否定条件\ =\ \overline{p}\ または\ \overline{q}
\end{displaymath}

ということで,これまでにも使ったことがあります.



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