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SL(2)の分解

南海  そういうことだ. まず,$SL(2)$の任意の要素は,3つの型の行列

\begin{displaymath}
\left(
\begin{array}{cc}
\alpha&0\\ 0&\alpha^{-1}
\end{ar...
...t),\
\left(
\begin{array}{cc}
1&0\\ u&1
\end{array}\right)
\end{displaymath}

の積に分解することが出来る.

耕介  やってみます. $\sigma=
\left(
\begin{array}{cc}
p&q\\
r&s
\end{array}\right)$をとります. $s=0$のときは$r=-q^{-1}$なので

\begin{displaymath}
\left(
\begin{array}{cc}
p&q\\ -q^{-1}&0
\end{array}\righ...
...ight)
\left(
\begin{array}{cc}
1&q\\ 0&1
\end{array}\right)
\end{displaymath}

です.$s\ne 0$のときは

\begin{displaymath}
\left(
\begin{array}{cc}
p&q\\ r&s
\end{array}\right)=
\l...
...
\left(
\begin{array}{cc}
s^{-1}&0\\ 0&s
\end{array}\right)
\end{displaymath}

です.

南海  そこで,$SL(2)$の部分集合を次のように定める.

\begin{displaymath}
T=\left\{\left(
\begin{array}{cc}
\alpha&0\\ 0&\alpha^{-1}...
...eft(
\begin{array}{cc}
1&0\\ u&1
\end{array}\right)\right\}
\end{displaymath}

これらはいずれも積で閉じている.単位行列,逆行列も同じ形をしている. つまり$SL(2)$の部分群である. そして,$SL(2)$はこれら3つの部分群で生成される. つまり,これらの3つの部分群の要素をさまざまにかけあわせれば, $SL(2)$の要素がすべて得られる.

耕介  すると,2次方程式の不変式を考える場合, これら3つの型の行列について不変であればいいのですね. この方に対応する3次行列(6) を書いてみます.

\begin{displaymath}
\begin{array}{ll}
\left(
\begin{array}{cc}
\alpha&0\\ 0&...
... 1&2u&u^2\\
0&1&u\\
0&0&1
\end{array} \right)
\end{array}\end{displaymath}

これらに対応する変換(6) で不変なものを確定すればよいということになります.



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