耕介 定理6の条件(i)を満たすもののなかで, の作用で0になるのもを考えればいいのですね. つまりとの次数が等しいもののなかで考えればよい.
南海
がどのような作用であるかを見るために
次数がの単項式
耕介
南海 いずれの項もの指数との指数との差が1増え, それに応じて, の作用によっての指数は2増加する. そこで,の整式で,それを構成する各単項式が 指数がで,の指数との指数との差の2倍をとし, とおこう. これらはこの条件を満たす単項式を基底とする上のベクトル空間だ.
とに属する単項式をあげてみてほしい
耕介
上のベクトル空間としては は3次元,は2次元です.
やはこのようなベクトル空間の線型写像になっているのですね.
南海 そうだ.しかも上の基底の変換からわかるように, はからの上への線型写像だ.
すると,の部分空間での作用によって0になるものの 作る空間の次元はいくらか.
耕介 3次元から2次元に射影するのだから, それで0になる部分空間は1次元です.
ということはの整式で,今考えている変換で不変で, 4次であるものは,基底が1個,つまりひとつの整式で表される.
ということはその基底はの定数倍のみ.
同様にして, 2次方程式の不変式は判別式とそのべきしかないことが示せそうです.
南海 問題を整理しよう.
の要素が不変式であるということは, 定理6の2つの条件を満たすということである. 条件(i)を満たすことはあるに関する の要素であるということだ.
次に微分作用素は
からでの線型写像である.
そこで, との次元を調べ, さらにが上への写像であることとを確認して, の次元を確定させよう.
耕介
の次元は,
となる0以上の整数の組の個数です.
また,の次元は,
となる0以上の整数の組の個数です.
次に,を調べます.
のとき.
の要素を
のとき.
の要素を
したがって,
いずれの場合もはから上への準同型写像となる.
その核の次元はの次元からの次元を引いた差なので,
次の場合の基底は
南海 とりあえずひとつの結論を得ることができた.