これを一通り解きました.
解答
よって は整数である.
が有理数解を持てば(1)からそれは整数解である.
整数解は の倍数である.このとき,
南海 これはこれで立派な解答だ. 整数係数でしかも最高次数の係数が1である整式は,入試問題のテーマとしてつねに登場する. この解答以外の方法や,この問題の意義について考えてみるのはよいことだ.
別解を考えようとしたというが,どのような方向で考えたのか.
耕一 はい.を方程式の解として考える以外に,整式の因数分解の問題で考えられないか と思いました.
とおく. で割り切れることは,係数が整数に1次式にするとで割り切れることと同値です. そこで
そこで質問ですが,もし別の方向から上のが整数係数であることが示せたら, からがわかります.
南海 実は,整数係数の整式が,有理数係数の整式に因数分解できれば,その係数は整数でとれる ということがガウスによって示されているのだ.今の場合の係数は互いに素 なので,ここからくくって全体にかける整数はないので,自身が整数係数なのだ.
それが「原始多項式」の理論だ.
ところで,整式の既約性という問題は数の場合と違ってやや複雑である. 例えば, は有理数の範囲で考えると までしか分解できないが, 実数の範囲では と分解でき, 複素数の範囲では と一次式に分解される.
このようにどの範囲で考えるかで,分解される範囲が異なる.複素数まで考えれば一次式の積に 分解される.
いま考えているのは,「有理数の範囲で因数に分解できれば実は整数の範囲で分解できる」 ことが示せないかということだ.